2021/09/21
【第1531回】
青年劇場公演「ファクトチェック」観劇...現役一線のジャーナリストと現政府との丁々発止のやり取りをリアルに描いた中津留章仁作・演出の芝居、面白く観劇した。トラッシュマスターズという集団を率いて硬派な芝居を創り続けている劇作家なのだがエンタメ風に仕上げていくのが彼の持ち味かもしれない。青年劇場に書き下ろしたのが今回で4本目、長い歴史を持つこの劇団との相性の良さを感じる。何故かというと登場人物の多さ、劇団には20歳前後から80歳まで幅広い役者さんが在籍している。作者はそれだけ役の設定に多様性を持たせることが出来、描く世界を立体的に組み立てることが出来る。この劇団の役者さんスタンドプレイもなく等身大の人物を自然に演じているので安心して舞台に集中できるって訳だ。これも中津留演出の徹底したリアル追求の成果だと思う。
劇作家にも得手不得手があるのは当然のことだが、自分の描く世界とマッチした集団、俳優、スタッフと出会い、クオリティーの高い作品を創るための果てしない旅なのかも知れない。芝居に限らず、人生なんて誰と出会うかが全てかも...その誰かも所詮、己が選択しているのだから、つまるところ自分自身の感性、行動力、そして日頃の研鑽以外の何物でもない。振り返ってみれば、おいらも日本のみならず世界のあっちゃこっちゃの人達と多くの出会いを重ねてきた。数が多ければいいって訳でも無いのだが、やはり数が多ければより良き出会いのチャンスもそれだけ増えるってことだ。要するに人の好き嫌いは出来るだけ無くし、なんでんかんでん、取り敢えずどんな人にも興味を持ちじっくり観察し味会うことだ。こんな生き方してりゃ、結構楽しく、人生満更でもございませんことよ。
中秋の名月 前夜