トムプロジェクト

2022/02/09
【第1581回】

新宿の街は相変わらず雑多な街である...昔ながらの古い建物が立ち並ぶ新宿ゴールデン街、思い出横丁(随分前まではしょんべん横丁と呼ばれてました)、新宿二、三丁目辺りなんぞは野良猫にとっては居心地が良い場所である。居並ぶ飲食店からのおこぼれ、ノラちゃんをこよなく愛する心優しきおばちゃんなんかが結構面倒を見ている。この寒い日が続く昼間なんかは、お日さまの暖かいぬくもりを求め警戒することもなく顔を出す。久しぶりに拝顔するノラちゃんの表情は様々である。このコロナ禍の中、野良猫社会も生存を懸けての仁義なき戦いが繰り広げられているのではないかという痕跡を見るにつけ痛々しい。傷だらけの顔に、きつい眼差し、食料難なのか毛並みも悪い。おいらが近づくと少し警戒する様子も窺える。平和な時代には向こうから甘えるようにすり寄ってくるノラちゃんも沢山いたのだが、やはり時代環境の影響は末端の生き物にも及んでいるに違いない。

昨日、岩合光昭の世界ネコ歩きを観たのだが、フランス・ブルゴーニュ地方を呑気に散歩するネコの背景がなんとも美しい。ブドウ畑、古い小さなお城、ワインの貯蔵庫を何気なく回遊するネコの佇まいに、なんと幸せなネコちゃんたちだろうと思った次第だ。人間も同じ、どこで生まれどこで育つかによって運を左右するってわけだ。

でも、新宿のノラちゃんの必死に生きる姿にも十分学ぶものがありました。ある日の新宿ゴールデン街、千鳥足で歩くおいらに厳しい眼差しを向けるノラちゃんが「しっかり生きんかい!」思わず背筋がしゃきっといたしました。

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居眠り運転はいかんニャー

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