トムプロジェクト

2022/12/05
【第1692回】

先週の週末は、新宿シアタートップスで、劇団ONEOR8「千一夜」を観てきました。この劇場1985年にオープンし2009年まで結構面白い芝居を上演していました。初期の頃の大人計画、東京サンシャインボーイズ、劇団☆新感線などなど、客席150ほどのキャパに新宿の街が醸し出すカオスが程よくマッチしていました。トム・プロジェクトも22年続いている風間杜夫ひとり芝居もここから始まりました。蟹江敬三ひとり芝居、戸川純ひとり芝居もこの劇場でした。唐十郎作・演出の佐野史郎ひとり芝居では、このクラスの劇場では珍しい廻り舞台を作りこみ摩訶不思議な芝居を上演しました。

そんな歴史を持つシアタートップスが2021年5月に下北沢に多くの劇場を運営する本多グループが引継ぎ再開することとなりました。

久しぶりにこの劇場に入った瞬間、まるで走馬灯のようにこの客席で観た数々の芝居が甦ってきました。何といっても舞台と客席の距離をほとんど感じさせない臨場感が素晴らしい。生の芝居で役者の表情が見えないなんてことは本来あってはならないことなのだが、制作側からすると、この程度のキャパでは採算を取れないのでなかなか難しい。そんなことを考えれば、この規模の芝居は大変贅沢な出し物であり、その反面役者の技量も白日の下に晒されるので演者にとっては戦々恐々の劇場でもある。

さて、この日の芝居は?この劇団の主宰者である田村孝裕の独特の世界感が行ったり来たり、まるで観客の感情をもてあそんでる感じがいたしました。

これから先、新宿シアタートップスを足場にして新たな演劇の歴史を作り上げる集団が出て来てくださいな...街を、人を、煽情のるつぼに巻き込むくらいの出し物を期待してまっせ!

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黄絨毯

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