トムプロジェクト

2022/05/27
【第1621回】

来週の土曜日に幕が開く「無言のまにまに」稽古も佳境に入って参りました。こんな世界の状況だからこそ上演せねばと強く思う作品です。

いつも思うことだが、どれだけのお客様が来てくれるだろうか?2020年の初春に始まったコロナ禍によるパンデミック、演劇の世界でも大変な影響がありました。今までは楽しみに来ていたお客様の足が遠のき、劇場で挨拶代わりにお互いの無事を確認することも出来なくなり寂しい思いをすることも度々です。コロナ感染を恐れての控えであればいいのだが、これだけ長引くことによって「もういいや...」なんて気持が芽生えてしまい面倒になるなんてことが起きてる気がします。これは芝居に限ったことではなく、この先コロナが収束し、日常が完全に戻ってきたときに、旅をしたい、外食したい、みんなで飲食してお喋りしたいという気持も戻ってくるのだろうか...そんな一抹の不安も覚えるが、同時に人類が営々と築いてきた楽しい習慣が2年半にわたる異常事態によって全く変わってしまうなんてことはないんじゃないかという期待もある。

いずれにしても今回のパンデミックで人との対し方、社会に対する考え方が大きく変化したことは紛れもない事実である。ストレスが溜まり他人、社会に対する寛容さがなくなっていくことが一番心配だ。先日、政府の発表で公園での散歩なんかのときはマスクを外してもいいとの達示があったにもかかわらず、ほとんどの人はマスクを着けたまま歩いている。そのなかで稀に外して散歩している人に対する眼差しが、なんだか正義に満ちた不寛容な様相を感じる...こんな些細なことから分断が始まり、しいては争いに発展する。おいらも含めて心しておきたい。

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朝雨の中のアネモネ

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