トムプロジェクト

2022/11/04
【第1681回】

昨日、文化の日はグラシアス小林の作品を池袋東京芸術劇場シアターウエストで観てきました。タイトルは「CARONTE」カロンテとは、ギリシャ神話に登場する冥界の渡し守のこと。作品の冒頭から千手観音らしき手の表現でたっぷりと見せながらフラメンコの踊りに持っていく前半。後半は地獄の亡者を登場させトスカ、女神ペルセポーナの舞を中心にバッハの受難曲の生演奏と共に、人間の持つ悲しみや痛み、欲望、希望そして愛を展開。

彼と会って45年、事あるたびにいろんな話をしたつもりであったのだが、こんなことを思考し表現したかったとは、ちょいとふいをつかれた感じがしました。しかし考えてみれば30年ものスペインに滞在し、自分のアイデンティティは日本人であり東北山形で育ったことから発する表現に拘ってたことは確かです。彼にとってフラメンコとは表現することのひとつの手段であって、彼が74年間生きて感じたことをアートにしたかったのでは...

それにしても74歳でフラメンコを踊るってことは大変なことでございます。いくつもの大病を乗り越え、こうやって舞台の立ち姿を観てるだけで感慨深いものがありました。

昨年はトム・プロジェクトの作品に俳優として出演してなかなかの評判でした。45年前スペインの地で二人して日々シナリオ創りに四苦八苦して「今日はこれでおしまい!」と投げ出しワインを浴びるほど飲んだあの日が懐かしい...夢であった映画は実現しなかったけど、こうやってともに舞台を創ってるんですから幸せもんですばい。

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都内も色づいてきました

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