トムプロジェクト

2022/11/07
【第1682回】

先週は2本の芝居を観劇。1本目は文学座の「欲望という名の電車」、随分と昔に杉村春子、北村和夫、出演の芝居を観た記憶があります。この作品は文学座の財産ともいうべき芝居です。今回は出演者もがらりと変え今の劇団を支える人たちが奮闘していました。主人公のブランチが登場と共に口にする台詞「欲望と言う名の電車に乗って、墓場と言う名の電車に乗り換えて、六つ目の角で降りるように言われたのだけど...極楽というところで!」ニューオリンズの多人種が暮らす街の匂いがこの芝居の大きなポイントだと思います。1951年にエリア・カザン監督、ヴィヴィアン・リー、マーロンブランド主演で観た映画の印象があまりにも強力すぎて...なんともいえない色気と暴力性、そして滅び行く美学、こんな空気をどこまで出せるか?日本人が手がけるときの大きな課題だと思います。

2本目は小松台東という劇団が上演した「左手と右手」、主宰者が宮崎の出身ということもあり宮崎のある町を舞台にした物語です。どこにでもある物静かな日常が描かれる中に、言葉にならない感情が渦巻いて終末に暴発してしまう...何気ない日常を描くことほど難しいものはありません。普通に感じさせる表現ができた時が役者の芸としての到達点と言えるかもしれません。この劇団が目指しているところはそのあたりなのかな...

この息苦しい、なかなか出口が見えない世界、演劇の世界もこれに同調してる気配も感じます。そんな気分変えさせてくれるのがお祭りですね。今年も新宿恒例の花園神社の酉の市、商売繁盛、家内安全の熊手が飛ぶように売れてました。「福をかっこむ」といわれる縁起熊手の商いが成立すると、威勢の良い手締めの掛け声と拍手が境内に響き、なんだかおいらもおすそ分けしてもらった気分になっちゃいました。

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御手を拝借

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