トムプロジェクト

2022/12/16
【第1696回】

新国立劇場で「夜明けの寄り鯨」を観劇。若い頃、この近くに住んだことがあり、こんなところにこんな立派な劇場が出来るなんて想像もできなかった。まして国が作るなんてことも含めて。おいらもこの劇場(小劇場、中劇場)で数多くの芝居を見させていただきましたが、さすが国と民間企業が一体となって運営しているので羨ましい限りの設備です。海外では国の文化の程度が、その国の価値の基準になると言われているので、この劇場の建設はむしろ遅すぎたともいえる。

さて今回の芝居、客席に座った瞬間、舞台美術のシンプルかつ美しさに目を見張った次第である。開演までの15分間、そのセットを眺めながらいったいどんなドラマが展開されるんだろうか?ワクワクドキドキしてました。そして芝居が始まり、静かな口調の会話から一転、激しい議論の応酬を通じてそれぞれの登場人物の背景にある偏見、誤解、苦悩があぶりだされドラマが進行していく。そのリアルなやり取りと異彩を放つ舞台セットに違和感を感じるのはおいらだけなのか...深刻且つリアルなドラマツルギーだからこそアンバランスなセットで程よく中和させ、もう一つ異次元の世界に誘なうようにしているのか?そこは演出家の腕の見せ所だとは思うのだが、おいらにはもう一つ届きませんでした。

今回の芝居にトム所属の森川由樹が出演していました。由樹ちゃんとっても良かったです!「芸人と兵隊」「エル・スール~わが心の博多、そして西鉄ライオンズ」に続く今回の芝居、まさしくホップ、ステップ、ジャンプでございます。2013年トムの作品「百枚めの写真~一銭五厘たちの横丁~」でデビューして9年。由樹ちゃん、これからが真価を問われます。大丈夫です!自信を持って貴女の魅力を存分に発揮して、お客様を楽しませてくださいな。

1696.jpg

ナンテンと枯葉

<<次の記事 前の記事>>