トムプロジェクト

2023/03/15
【第1729回】

3月21日~26日まで新宿スペースゼロで上演する「ソングマン」の最終稽古を見てきました。今回の芝居はトムの若い制作者に任せました。おいら世代とは違う感覚で創ってもらいたいとの思いを込めて...いやいや、後味の良い芝居に仕上がっていました。若い役者のピュアな感性が嫌みなく表現された青春ドラマ。通俗的だと言えばそうだが、この混沌とした世界の状況の中、ましてやマスク生活で正常なるコミュニケーションがままならない昨今、青春真っただ中でひたむきに生きようとする姿はとても爽やかで勇気づけられる芝居だと思います。

長いこと芝居に携わっていると、いつのまにか自分の演劇観が固定化される傾向があります。要するに自分はこんな形の芝居を創りたい!何事も核になるものは必要なのだが、あまりにもその核に拘り過ぎて自縄自縛状態になるケースを何度も観た記憶があります。

創っては壊し、又新たなことにチャレンジしていくことが表現者としては理想形なのだが、一旦手にしたものを手放したくないのが普通の人間でございます。

今回の芝居も、おいらがこれまで創った芝居とは随分かけ離れた芝居だと思っていましたが、所詮、テイストは違えども、伝える側の志し次第で、どんな観客にも届けられる演劇として成立するものだと改めて納得できました。今回の作・演出、なるせゆうせい君とは27年前に彼が学生だった時に出逢いトム・プロジェクトの第一回新人公演を任せました。その後、彼も自分の会社を立ち上げ作・演出・監督としてこの業界で活躍しています...おいらにとっても久しぶりのなるせ作品。昨日見た段階で、その後の彼の切磋琢磨の時間を垣間見た感じがしてなんとも感慨深いものがありました。

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