2023/05/08
【第1749回】
長年の友人である詩人、映画監督の福間健二さんが74歳で亡くなりました。健二さんとのいろんな想い出が蘇ってきます。「鷽」という雑誌に、おいらは西鉄ライオンズに関するエッセイを、健二さんは詩を提供しており、これを機に付き合いが始まりました。その後、健二さん、恵子さん夫婦が出版した「ジライヤ」に博多にまつわるエッセイ<エル・スール>を連載させて頂きました。都立大学教授、詩人、映画監督という三足のわらじを楽しみながらかつ精力的にこなされていました。スペインの地でもバルをはしごして千鳥足でホテルに帰ったこともありましたね...大学退任後は詩集で萩原朔太郎賞を受賞し、映画監督としてますます闘志を燃やしていた矢先のことでおいらもびっくりしました。
5月2日、国立の自宅にお線香をあげに行きました。悲しみを耐えて気丈に接する恵子さん、相当悔しいに違いない。不意打ちを食らったと言ってました。二人の夫婦として、そしてものを創り上げる戦友としての見事な夫唱婦随を見せられたものとしては恵子さんの気持ち良く分かります。でも、恵子さんの尽きぬ思いを作品に昇華していった健二さんの生き方も悔いがなかったと思います。今年の11月には死の寸前まで編集に追われていた新作の映画が公開されるそうです。
健二さんこれまでの貴重な時間ありがとう!恵子さんこれからまた楽しい時間つくりましょうね...福間健二さんの詩集『青い家』より「窓」
あなたの窓が閉ざされているから
わたしは目を閉じて
自分の入る箱を想像した。
ゆうぐれの
川べりに立ち
自分を入れて流れてゆく箱を想像した。
その箱は流れていって
夜の人々は迷路に消えて
わたしもいなくなって
いま
この空に
炸裂して光るもの。
ほかに何を見るのだろう。
あなたの目
魂の窓
それがひらかれるとき
わたしは帰ってくる。
むかしのわたしとはちがう
わたしの知らないだれかになって。
健二さんが歩いた国立大学通り