2023/05/15
【第1752回】
先週の12日(金曜日)、「風を打つ」の追い込み稽古に行って参りました。今回が再々演になる作品です。何事もそうですが、芝居もステージを重ねていくと別物の作品になっていくものなんですね。芝居の冒頭から家族のなんともいえない温かさが伝わってきました。熊本県水俣市で患者の発生が公式認定されて、今年の5月1日で67年になりました。同じ魚を食べ、水俣病になりながら、チッソ企業城下町で差別と偏見の中で過酷な生活を強いられた実在の家族の話です。その悲惨な状況を乗り越え逞しく生き抜く上で一番大切なのが明るさです。この芝居に登場する5人のそれぞれが今回、より温かく、強く、逞しくなり、逆に水俣病に感染したことにより人として、親として、子として得るものがあったという前向きな思考と行動があってこその明るさがより増していた今回の稽古場。
貴重な時間と、お金を支払ってくださるお客様に、どんなプレゼントが出来るか?芝居を創る人間すべての人が日々苦心していることです。そのための稽古場は緊張と弛緩の振れ幅の中、新たな発見の場でもあります。
この3年間、芝居の現場はコロナ禍のなか戦々恐々の日々でした。ようやく5類ということにはなりましたが、まだまだ油断は出来ません。本番直前まで、皆マスクを付けながらの稽古です。18日の初日が無事迎えられますように...
薔薇の館