2023/09/15
【第1801回】
昨日、トラッシュマスターズ第38回公演「チョークで描く夢」を観劇。
舞台は黒板に書くチョークを製造する小さな工場。1960年から知的障害者を雇用し始め現在でも川崎、美唄工場で多くの知的障害者が仕事に従事している稀有な会社。前半は戦後間もない昭和、後半は令和のリアルタイムなドラマが展開する。現代社会の矛盾を鋭く突きつけてきた作・演出家、中津留戯曲の真骨頂を観させていただいた一日であった。
2011年3月に起きた東日本大震災の年に、震災をテーマにした「背水の孤島」を上演し演劇界を震撼させた男が、更なる良質な芝居を創り上げた。今年2月に公演した「入管収容所」もタイムリーな作品だっただけに、今年の演劇界は中津留章仁の年と言ってもいいくらいの快進撃だ。
演劇は様々なジャンルで、多種多様な表現、演出で多くの作品を生み出している。世界的にも予測不能な昨今、日常を忘れさせてくれる楽しい演劇を上演している劇場に足を運ぶ人達が多数を占めるのは勿論理解できる。演劇も娯楽のひとつではあるのだが、演劇がより良き社会にするための役割を担っているのも紛れもない事実である。100人ほどの小劇場で採算を度外視してでも心身を駆使して諸悪の根源に向き合おうとする姿にはほとほと感心してしまう。なかには自己満足な舞台も少なくないのも確かなのだが...
いいい芝居を観た後の酒ほど心地よいものはございません。昨日もウキウキほろ酔い加減で無事帰宅することができました。
よか芝居ですたい!