トムプロジェクト

2022/06/06
【第1624回】

6月4日に両国シアターカイで幕を開けた「無言のまにまに」昨日で無事2日目を終えることが出来ました。連日多くの方に来て頂き嬉しい限りです。やはりウクライナ侵略をきっかけに、戦争に対する様々な思いが演劇の現場にも顕著に表れているのではなかろうか。アンケートには「戦争は絶対に駄目!」と強い筆圧で書き込められているのが印象的でした。この芝居の中には勿論、家族をめぐるドラマも伏線として描かれています。血がつながっていなくとも、親が子を愛しく思う気持ちはどんな時代であろうとも永遠不滅なものであるという思いが語られています。

今回の芝居でとても印象的なセリフがあります。「無言館」を建てるにあたって戦没画学生の絵を集めるために立ち寄った遺族が語る言葉

「私はあなたが個人でお作りになる美術館だと聞いて兄の絵を預けようと...。兄は...お国の命令で戦地に駆り出されて死んだんですから。その兄の絵をまた国に預けるようなことはしたくありませんでしたから。」

過ちを犯した嘗ての日本の国に対する痛烈な一言だと思います。今まさにロシアで大義なき戦いで無念の死を強いられたロシア兵士の遺族も同じ思いではなかろうか...

一見穏やかな日本の現風景。両国にも太平洋戦争中の東京空襲で亡くなった方の遺骨が納められた「東京都慰霊堂」があります。「無言館」同様、こんな建物を必要としない平和な世の中にしたいものです。

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両国

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