トムプロジェクト

2022/06/02
【第1623回】

昨日、今週の4日(土曜日)に初日を迎える「無言のまにまに」の最終稽古を観てきました。

5月28日に観た通し稽古に比べ随分と流れがよくなっていました。要するにこなれた感じですね...このこなれたってのがクセもんでございます。調子よく流れに身を任せるのは演じてる当人はとっても気持ちがいいんですが、上面だけの表現になる危険性を含んでいます。同じセリフを喋ってはいるんですが、相手役のその日の出方によって当然返しの言葉の音韻、気持ち、仕草も変わってくるはずです。慣れてはいけないんです...常に新鮮な身体で受信し発信してこそ、鮮度の高い舞台を届けることが出来ると思っています。

生の役者のザラザラ感、ゴツゴツ感が舞台の醍醐味であり、予測不能な展開で観客をいい意味で裏切る芝居こそがベストだと思っています。

水無月になりました。古くは清音。「水の月」で、水を田に注ぎ入れる月の意味です。梅雨、紫陽花、暑い夏の到来を前にして何となく昂ぶる気持ちを抑えてくれる月かもしれません。

未だにコロナも収まらず、ウクライナの情勢も一進一退...そんな状況下で演劇をやり続ける意義は?いろいろと考えますが、水の流れと同じで一旦止めてしまうとなかなか元には戻れない。生きることはアクション、動けば新たなことが視えてくるはずです。

誰も歩いていない帰路の道でマスクを外すと、夜の大気のなんと美味しいことか!当たり前のことが当たり前に感じられない異常な状態が一日も早く終息することを切に願う...

1623.jpg

水無月の空

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