トムプロジェクト

2022/07/22
【第1642回】

セミが鳴きだした、この鳴き声を聴くと夏の季節を一段と感じさせてくれる。そして儚い一生で終わってしまうセミ君に、この夏を存分に生き切って欲しいと願う。

劇団トラッシュマスターズの「出鱈目」を観劇。若者の心情をべったりと描き出す小劇場が多い中、毅然とした姿勢で社会派劇団としての36回目の公演である。今回は現実に起きた表現の不自由展で話題になった言論と表現の自由と行政との対立を素材にしたドラマである。各々の意見、論調を芝居にするのはなかなか難しいのだが、作・演出の中津留章仁はエンタメ要素も絡めながらうまく構築している。2時間半の長丁場、観客を飽きさせない劇作術にはいつも感心させられる。そして、しばらく出演していなかったこの劇団の創立メンバーである、ひわだこういちが前回に引き続き出演し、これまた久しぶりのカゴシマジローとの競演がなんとなくほっこりさせてくれる。それにしても、コロナ禍のなかで演劇活動を継続していくのはなかなか困難な作業である。すべての作業が生身の人間が直に接しないと成り立たない演劇の宿命に、現場は日々戦々恐々たる思いで過ごしているのである。

なんと東京は3万人超え、そしてプロ野球、大相撲の世界でも感染者続出。これまでのルールーで社会は回っていくであろうか?甚だ疑問に思わざるを得ない。

トムも来月から3本の芝居を予定している。どうか演劇の神さん見守ってちょうだいな!

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夏の夕焼け

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