トムプロジェクト

2022/07/25
【第1643回】

カンヌ、アカデミー賞で話題なった「ドライブ・マイ・カー」をWOWOWで昨日観ました。この作品、観る人の評価がおおきく分かれてしまうんじゃないかしら?村上春樹の短編が原作なので村上文学が苦手な人にとってはいつの間にか首がストンと落ちてしまう。一方、根強い村上文学信奉者にとっては独特な言語に加え、濱口竜介監督の映像、構成力、巧みなずらしかたで3時間の長丁場を感じさせない不思議な感覚にさせられたのではなかろうか。おいらが一番面白く感じたのは、チェーホフの「ワーニャ伯父さん」の舞台を交えながらドラマを展開させていく手法であった。しかも、日本語、韓国語、手話を交えながらの作劇は興味深いものがあった。しかも役者の感情を排除し棒読み的な表現を試みることによって表現の本質を探ることが、この映画の本質にうまくマッチしているところにこの監督のセンスを感じた。その代表格が、ドライバー役を演じた三浦透子。一貫した無表情の演技、登場してからこの子はなにかあるな?とわかってしまうのが少し残念だったかな...

それにしても、日本の映画界も若い有能な監督が世界に進出していることは嬉しい限りだ。

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百日紅

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