トムプロジェクト

2022/09/05
【第1658回】

劇団チョコレートケーキの「ガマ」を観劇。この劇団2022年8月17日~9月4日まで、東京芸術劇場で「生き残った子孫たちへ 戦争六編」と銘打って公演しました。小劇場の劇団がこういう形で硬派の芝居を六作品、長期間企画するだけでもあっぱれです。このクソ暑い中、しかもコロナ感染のなか、しんどい芝居にはなかなか足が向かないと思うのだが、今だからこそ戦争に向き合って欲しいという劇団のこだわりを感じます。演劇を志すものとしてこのこだわりは必要不可欠であり、これからの劇団の改めての決意表明ではなかろうか...

今回の「ガマ」は六篇の中で唯一の新作です。沖縄の悲惨な戦争体験はたびたび舞台化されてきましたが、この作品はまさしくガマ(沖縄戦時に避難壕や病院壕として使用され、その数はおよそ2000にも及ぶ)のなかでの人間ドラマ。おいらも、数年前、ひめゆり学徒隊が居たガマの前に立った時には、ガマの中でくり広げられた悲惨な惨状が頭をよぎり、しばし黙祷するしかなかった。

劇中、皇民教育に染まった少女を演じた清水緑が吐く台詞「帝国臣民」「聖戦貫徹」「私たち沖縄県民はどうやったら日本人になれるんですか」「友達は皆日本人として立派に死んでいった」それらの言葉を受け止め、「命は宝だから」と少女を諭す現地の老人を演じた大和田獏が秀逸。これも、勿論、劇団チョコレートの役者陣が支えてのこと。

戯曲、演出、舞台美術、照明、音楽、すべてがハナマルの公演でございました。

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久し振りのゴジラ

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