トムプロジェクト

2023/09/25
【第1804回】

先週の週末、新橋演舞場で「ふるあめりかに袖はぬらさじ」を観てきました。有吉佐和子による戯曲は当時話題になり、1972年に文学座が戌井市郎の演出、杉村春子の主演で初演した舞台を観た記憶があります。筋書きとしては尊王攘夷派と開国派がしのぎを削る幕末を舞台に、神奈川・横浜の遊郭を舞台にした物語が展開します。

大竹しのぶさん、ここのところ杉村春子さんが演じた名作に挑戦してますね。杉村春子と言えば新劇を代表する大女優。決して美人とは言えないけれど演技力、人間としての存在は他を圧倒するものがありました。昔の新劇俳優には社会の中で、役者である前に一人の人間としての矜持を大切にしながら舞台に臨んでいたような気がします。考えてみれば、自分の意見を言えない人間が舞台にあがり人前で演じるなんてもってのほかですね。その点、西欧、アメリカの俳優は政治的な立場も鮮明にして俳優業を続けています。まだまだ日本ではそこまで浸透してないのが何だかもどかしい気がします。今回の芸能界を仕切ってる会社の問題も然り、日本の芸能界の歪さを象徴しています。

今回の芝居、勿論、風間杜夫さんが出演していたので観に行ったんですよ。大竹さんが主演の時は必ず共演しています。大竹さんが杜夫ちゃんと一緒に舞台に立つことによって安心できてる雰囲気がプンプン匂ってくる舞台でございました。

ここ数日、一気に秋めいてきました。空を見上げると一目でわかる雲の表情、あの猛暑の日々を過ごした日々を考えると、なんだか嬉しくなっちゃいました。

1804.jpg

秋の空

<<次の記事 前の記事>>