トムプロジェクト

2024/05/07
【第1888回】

唐十郎さんが亡くなりました。トム・プロジェクトでも2本、作・演出して創っていただきました。稽古中、そして酒場で一緒に過ごした時間が懐かしいです。いつも少年のような瞳で語り掛けてくる言葉が、現世を見つめながらどこか見知らぬ時空間に誘ってくれる不思議な人でした。唐さんの描く世界の主人公はいつも底辺に蠢く市井の人でした。唐さんが幼少の頃、下谷万年町で出会ったいかがわしくも心根の優しい庶民の姿が戯曲を書くきっかけになったに違いありません。

おいらが上京して頭をぶん殴られたのが、1967年8月、新宿花園神社境内に紅テントを建て、『腰巻お仙 -義理人情いろはにほへと篇』を観た時だ。なんだこれは!唐さんはじめ、麿赤児、四谷シモン、大久保鷹、不破万作などなど得体のしれない役者群が紅テント内で観客をかどわかしながら縦横無尽に暴れまくっていました。まさしく特権的肉体論、役者の沸き上がる身体を通して言葉を生み出していく手法に唖然とした記憶があります。

こんな世界に身をゆだねたい...そんなこんなで演劇の世界に身を投じた次第です。

唐さんが演劇に託した想いは、その後いろんな人達が継承し演劇というフィールドをダイナミックに展開していったことは紛れもない事実です。

唐さんお疲れさまでした...ゆっくり休んでくださいね!と言いたいところですが唐さんのことですからあの世でまた暴れまくっているに違いありませんね。

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早く取りに来てネ

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