トムプロジェクト

2020/02/14
【第1308回】

昨日、令和元年度(第74回)文化庁芸術祭賞贈呈式が早稲田のリーガルロイヤルホテルでありました。昨年、トム・プロジェクトで上演した「風を打つ」に出演した音無美紀子さんが演劇部門で優秀賞を受賞しました。長い芸歴で初めての受賞、とっても喜んでおられました。作・演出のふたくちさん、共演者の太川陽介さん、村井國夫さんも駆けつけて盛大にお祝いいたしました。全身全霊で打ち込んだ演技の結果としての賞ではありますが、一人で受賞できるわけではありません。しっかりとした戯曲、適格な演出、芝居をきっちりと受け止めることが出来る共演者、もちろん円滑に舞台を進行するスタッフ、制作陣。これらがピタッとはまらないと栄冠は勝ち取ることはできないということです。それにしても「風を打つ」の音無さんの演技は絶品もんでございました。テーマが水俣ですから、それなりの覚悟で挑まないと大変なことになる...何事もそうですが、事実の重さにフィクションが勝てるわけがありません。がしかし、事実を踏まえて出来上がった創造物には違うニュアンスを醸しだすチカラがあります。今回の芝居が成功したのも、水俣病を受け入れながら生きることの意味を緊密な家族劇に仕立て上げ、出演者が一つになって表現したことに尽きるでしょう。

贈呈式の後は、共演者の高橋洋介、岸田茜さんも参加し改めて祝杯をあげました。それにしても、夫の村井國夫さんは始終満面笑みのお顔でございました。そりゃそうでしょう、先の村井さんの紀伊国屋演劇賞の受賞に続いての美紀子さんの受賞という夫婦そろってのW受賞、「こいつは春から縁起がいいわい」あの歌舞伎お嬢吉三の名セリフがぴったりの一日でございました。

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おめでとう!

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