トムプロジェクト

2020/02/17
【第1309回】

先週土曜日、上野東京文化会館小ホールで歌劇「400歳のカストラート」を鑑賞。カウンターテナーの藤木大地さんのコンサート。女性ような声で歌うカウンターテナーと言えば米良さんの「もののけ姫」が知られたところですね。この藤木さんもなかなかのものでした。今回は創作劇、劇は17世紀から始まりカストラート(変声期前に去勢された男性歌手)として活躍するダイチは永遠の命を手にし、あらゆる出逢い、歓び、葛藤、苦悩を経ながら今に至る。その400年を音楽史を辿りながらの歴史物語。いやはや、一人で2時間、歌曲の原曲、そして日本語も交えながらの独唱。見事でございました。役者の世界も大変ですが、この歌の世界も苦難苦行の世界でございますな。声が命、ましてこの声の中に見えざる人生が写しだされるんですから怖いもんですね。まして洋楽となると姿形も見せるうえで重要な要素なってきます。日本人にとってはこれも越えなきゃならない壁ですな...そんな困難にチャレンジし、2017年4月、オペラの殿堂・ウイーン国立歌劇場のライマン「メデア」へロルド役でデビューして現地で絶賛を浴びたってんだから大したもんでございます。

あまりにも心地よい歌声に、うっとりしてしまいコックリさんに何度かなりそうになりました。(これはおいらにとっての誉め言葉ですぞ)それにしても、人間の身体ってまさしく楽器ですね。いや、楽器を超越して天まで届く歌声です。おいおい、そこらで愚痴ばっかりいって怠けている輩、この世に奇跡のように与えられた五体を磨かんと罰が当たりますよ!なんて警告を与えられてるような公演でもありました。

この日、朗読として出演された大和田獏さん、大和田美帆さんのお二人が見事に藤木さんをサポートしておりました。そして5人の演奏者も一流の音を奏でていました...会場を出ると久しぶりの上野公園が清々しく感じられたのも公演のお陰かな。

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梅をみつけた

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