トムプロジェクト

2022/04/27
【第1610回】

「ベルファスト」観てきました。おいら好みの映画でしたね。1969年の北アイルランドのベルファストで起きた宗教をめぐる事件を少年(監督ケネス・ブラナー)の目を通して映し出した物語。カラーから白黒に代わる画像、そして最後にまたカラーになるところが憎いです。音楽のセンスもなかなかよろしい!なんだか「ニュー・シネマ・パラダイス」を観てるような感じもしました。子役の良し悪しが映画の成否を握っている代表的な例です。人間誰しも生まれ育った故郷に対する郷愁の念はあると思います。この映画も、生まれ育った田舎町での映画を唯一の娯楽として過ごした体験が、最終的に映画監督に導いてくれました。

家族を担う俳優陣もベスト、特におばあちゃん役を演じたジュディ・デンチが最高でした。

「恋におちたシェイクスピア」(98)でアカデミー助演女優賞を受賞した実力派の女優さんです。現在88歳になる彼女がラスト近くに語り掛けるアップの表情に彼女の人生すべてが語られているようでした。幾筋も刻み込められた皺を隠すこともなく淡々としたシーンは圧倒的な人間の存在そのものを感じました。表現者、人間が一体となって己の歩んできた道を表情一つで表すことが出来ることの奇跡に近いシーンでもありました。

おじいちゃん役のキアラン・ハインズもなかなかいい味をだしていました。彼がしみじみと吐く台詞、「答えが1つなら紛争なんて起きない」「相手が何言ってるか分からないのは、聴こうとしていないから」...ウクライナに対する侵略が今なお続く中、説得力がある言葉でした。

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子カルガモはもうすぐかな?

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