トムプロジェクト

2022/09/22
【第1665回】

昨日、「エル・スール~わが心の博多、そして西鉄ラインズ」俳優座劇場で無事初日を迎えることが出来ました。改めてこの作品、よか芝居と思った次第です。あの時代の匂いが舞台上から観客に伝わっていくさまが良くわかります。この芝居のテーマでもある匂い、そうなんですね、いまやこの国にとどまらず先進国といわれている国々はほぼ無味無臭のつまらん国になってしまいました。人間が醸し出す匂いが感じられなくなった途端に、自己中心の思考に陥り、生きる上で一番大切な優しさそのものが疎遠になっていき、人が人を思いやる感情が希薄になっていくのは自明の理。拝金主義、物欲に走り、果ては小さなもめごとから始まり、挙句の果ては戦争へ突き進むお決まりのコースでございます。

匂い、体温、この身近な感覚を失わないことが家族、街、国家、そして地球を守る大前提であることを、この芝居が教えてくれてる気さえします。決して高邁な思想を語らなくともごく身近な市井の人達から学ぶことの方が多いのではないか...

今回の芝居、少ないステージですが、こんな時代だからこそ是非見て欲しいと強く思った昨日の初日でございました。

前回、お知らせした台風で中止になった「風を打つ」ちた半島演劇鑑賞会での公演、いろんな方の尽力で振替公演ができることになりました。

まだまだ演劇の神さん健在でございます。

1665.jpg

雨あがる

<<次の記事 前の記事>>