2023/02/15
【第1717回】
昨日は日生劇場でホリプロ制作のミュージカル「バンズ・ヴィジェット」を観劇。ミュージカルになんと風間杜夫ちゃんが出演しているので、どんな歌をご披露するのか楽しみにしていました。この作品はトニー賞で10部門を独占したのだが、従来のミュージカルと違い大規模で派手な趣向のある作品というわけでもない。しかし、イスラエルに演奏旅行に来たエジプトの音楽隊が道に迷い、地元のイスラエル人と一晩交流をするというシンプルな物語の中に、国境を越えた人の交流を丁寧な描きながら、心情溢れる空気とエキゾチックかつ独創的な音楽は過去のミュージカル作品にはないものを感じました。杜夫ちゃんは誇り高い楽隊長の役、抑制の効いた演技で地味ながらも存在感を示しておりました。期待していた歌は一曲だけでしたが相手役の濱田めぐみさんと上手くハモっておりました。
それにしても御年もうすぐ74歳になるというのに、若い俳優さんと一緒に演技している姿は元気をもらえます。ここが俳優業のいいところですな...なんといっても死ぬまで現役で居られんですから。と言っても舞台は台詞を覚えなきゃ成立しないので、覚えられなくなっちゃえば舞台俳優としては引退宣言。事実、この一件で引退した俳優も居ましたね。加齢とともに日常生活でも「あれ?あれ?」を連発することも度々。本当に出てこないんだよねこれが...ましてや舞台では高い入場料金頂いて足を運んで来てるお客さんの前で台詞が出てこないとなると失笑を買うと同時に、それまで築いてきた芸歴に傷が付き仕事が激減してしまうという最悪の未来が待ってます。だからこそ舞台は価値があるんですな。生身の身体を晒しながら己自身に鞭打つ姿をハラハラドキドキ見応え十分でございます。
寒い一日