トムプロジェクト

2023/06/05
【第1761回】

先週の土曜日、劇団桟敷童子「海の木馬」すみだパークシアター倉にて観劇。いつもの劇団員一丸となって芝居創りをしているこの劇団は大好きです。今回の舞台は、終戦直後の混乱した時期に高知で起きた第128震洋隊で起きた爆発事故。2年前に「飛ぶ太陽」という戦後、福岡で起きた爆発事故を題材にした舞台の記事を見たひとりの老婆からの1本の電話から今回の芝居が始まったそうだ。「終戦直後、忌まわしい事故が全国各地でありました。それを世の中に知らせてください」そうなんです、歴史の闇に葬られた様々な出来事を伝えるのも演劇人の責務だと思います。

今回ゲスト出演した小野武彦さんの存在感が、この芝居を通奏低音として最後まで舞台を引き締めている。御年80歳の小野さん、演技をしているというよりも小野武彦ご自身の生きてきたそのものが舞台上に居る。これはなかなかできないことである。役者は常に何かをやりたがる生き物であり演じたがるものである。己に何枚もの飾り物を重ね観客に見せつけることを止め、すっぴんで舞台に上がることはなかなかできないことである。

今回の小野さんの存在を際立させているのは、勿論共演者の清廉な演技であることは間違いない。この劇団の主宰者である東憲司さんの演劇に対する姿勢が徹底していて気持ちが良い。ついつい応援したくなるのは当たり前でございます。

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錦糸町からの風景

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