トムプロジェクト

2023/12/25
【第1839回】

2017年に亡くなられた作家・赤染晶子さんのエッセイ55篇と、2011年1月から3月にかけて、翻訳家並びにエッセイストの岸本佐知子さんとの「交換日記」を収めた一冊「ジャムパンの日」読了。何気ない日々のなかで起こる出来事に彼女なりの妄想を絡めた文章が面白い。

 

わたしは蠅取り紙が大好きだ。蠅取り紙は美しい。あのヴィヴィッドな黄色はゴッホの「ひまわり」を越えている。そこに黒い蠅が止まることで、とても見事な色のコントラスが生まれる。蠅は命を投げ出して、この美しさを生み出すのである。これがご飯粒では様にならない。蠅でなければならない。もしかしたら、蠅は蠅取り紙に出会うために生まれて来たのではないか。わたしには夢があった。蠅取り紙に蠅がくっつく瞬間を見たい。芸術の生まれる瞬間を観たい。

 

このなんともシュールな妄想。もしかしたら創造、想像、妄想は人生を楽しく生きる三種の神器かもしれない。これを政治の世界でも生かして欲しいが一歩間違えば、ヒトラー、プーチン、北朝鮮のかりあげ君なんかを生み出す危険もあるので要は使い方次第だ。

おいらも今朝ある妄想に駆られました...いつもは朝早くからやってくる小鳥たちが来ないので、もしや昨日イブのためのチキンをぶら下げてるニンゲンの様子を見て、鳥たちも危機感を感じ、今日のクリスマスが終わるまで身を潜めていようということになったのかしら...

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師走の新宿

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