トムプロジェクト

2024/05/15
【第1891回】

一昨日、唐十郎さんの通夜に行って来ました。安らかなお顔でした...唐さんにとっての演劇は己の魂を賭けた遊びでもあり、それまで劇場という空間、そして演技をするための知的、肉体的な鍛錬に異を唱えるためのアングラテント芝居だった。いつの時代でも、支配階級が底辺の民に強いる差別に対し演劇という手法を通じて抵抗する手段でもありました。布一枚で隔てるテントは非日常と日常が瞬時に入れ替わる夢とロマンの時間でもあった。

日本国内のみならず戒厳令下の韓国、難民キャンプシリア、カオスのバングラデシュ、レバノン公演を遂行したのも社会に見捨てられた人たちへの限りない愛だと思う。

東京都の命令に逆らい、新宿西口公園での公演はおいらも現場に居ました。機動隊に逮捕され連行される唐さんの不敵な面構えは今でも記憶にあります。なにせ押し付け事が大嫌いなききわけのない童心が生涯宿っていたに違いありません。

日本の国力が貧弱になりつつある今こそ、冒険者でありロマンチストである唐さんみたいな人物が出てきて欲しいと思うのだが、なかなか難しいかな?でも一度きりの人生、己が願望していた諸々、試しもせず死んでしまうなんて悲しいとは思いません...

5月も中盤、朝晩と昼間の温度差がありすぎて体調不安定。そんなときは散歩に限ります。今日も5月のアンネのバラが咲き誇っていました。風雨に晒されながらも不屈の生命力で繰り返し花咲かす植物に癒され圧倒されてしまう今日この頃でございます。

1891.jpg

平和を願って
(アンネのバラ)

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