2024/10/23
【第1954回】
先週は青山にある銕仙会能楽研修所で「蝉丸と逆髪」を観劇。久しぶりに表参道をぶらり、いやはや外国資本の高級ブランド店がずらり並んでおりました。あんな高い品物、誰が買うんでしょうね?お金持ったアジアの観光客、見栄っ張りのお方、なかには中身も備わった紳士淑女も居ることでしょう。こんな時代、お金をかけることよりも、もっと大切なことがたくさんあると思いますがね。
そんなブランド通りを過ぎたところに会場はありました、今回の芝居も、現代語で解く能の物語と謳っていました。能「蝉丸」は美しい節付けの人気曲。延喜の聖代と言われる醍醐天皇の第四皇子蝉丸は盲目ゆえに父帝から逢坂に捨てられ、髪が逆さまに生え登り、狂乱し放浪する姉逆髪との再会と別れを描く能。戦前は皇室に不敬に当たると上演を自粛していた時代もあったとのこと。世界でも一目置かれている能なんですが、なかなか一般大衆には何となく敷居が高くめったに観ることもない芸能です。今回のような形式であれば普通の芝居を観る感覚で楽しめると思います。今回の芝居を観て本来の能への興味を示す方もいるのでは。古典芸能と現代演劇がこういう形でクロスしていくことによって、新たな表現が表出されることは大変喜ばしいことではないか...既成概念に縛られてはなりません、アーチストは常に新たな地平を目指してこそ真の表現者でございます。
3人の出演者それぞれに良い味をだしていました。とりわけトム所属の鳥山昌克さんの存在感はピカイチでございました。それにしても能舞台の美意識、世界に誇れる空間のひとつであることに間違いありません。
もうすぐ紅葉だね!