2025/10/31
【第2103回】
毎年この時期にコンサートを実施している石橋幸さん(愛称タンコ)、今年で27回を数えました。80歳を超えたとは思えないパワーと愛らしさで、この日も満杯の新宿紀伊國屋ホールのお客さんにロシアの歌を届けていました。彼女が開いている新宿ゴールデン街「ガルガンチュア」の店も53年になるのでは...おいらも開店2年目ぐらいに行き始めました。当時のゴールデン街は小説家、映画人、芝居屋さん、正体不明の人達が朝まで侃々諤々の議論を闘わすある意味戦場みたいな場でした。まだ若かったタンコさんも負けてはいませんでしたね。殴り合いの喧嘩になりそうになると「店は狭いし迷惑だから外でやって...」なんてことが度々でしたね。
佐賀県から上京、早稲田大学でロシア文学を専攻し女優をやりながらロシアの僻地を旅し権力に抑圧される民衆の心を題材にしたロシア歌謡を収集し、原語で歌う日本で唯一の歌い手です。世界の今のロシアに対するというより、プーチンへの怒りは当然のことながらも、ロシアへの嫌悪感を忘れさせるこの国の名もなき庶民の霊魂がタンコさんの透明感溢れる声を聴きながら、今一度あの優れたアートを生み出した国に戻って欲しいと思いました。
打ち上げにも参加したのですが、さすがにおいらが昔から飲んでいた人達は2,3人でした。酒を嗜みながらつい、故人になった人、行方知らずの人などなど、あの日あの時「ガルガンチュア」のカウンターで共にした面影が浮かんでしまいました。
素敵なバックミュージシャンに支えられてのコンサート、来年も是非聞きたいと思っている人がいる限り続けて欲しいですね。

ロシアへ届け

