トムプロジェクト

2026/02/20
【第2146回】

青木理著「百年の挽歌 原発、戦争、美しい村」読了。著者はコメンテイターとしてTVで権力者に対し辛辣な発言も多く、最近はメディアに登場することも少なくなった。昨今、権力者に厳しい意見を発言すると、やれ左翼ジャーナリストと決めつける輩が増えてきたのだが、本来ジャーナリストたるものとしては当然のことである。なかには御用評論家として政界を徘徊している者も少なくないが、聞いていてもどかしさを感じる。

今回の青木さんの著作、10年をかけて東日本大震災の被災地である飯館村に住む家族を取材しての話である。震災によって避難を余儀なくされ102歳で自ら命を絶った古老の話から物語は展開します。この家族の一人は嘗ての大戦で硫黄島にて戦死しています。そして追い打ちをかけるかのような不幸が続きます。

この負の連鎖、いずれも国策を実行する人達による将来の設計図の貧しさが大きな要因であり、この国の未来を案じての出版だったと思います。登場する人々の淡々とした日常と、不用意に壊されてしまった日常のなかにある不条理が鮮明にルポルタージュされ、一気に読めるのも、これまで自分の目と足を駆使してきた著者の地道な足跡があってのこそだと思います。史実・データを検証し、時系列とあわせて何度も推敲しながら書き上げた今回の本、多くの人に読んでもらえると少しはこの国の未来も明るくなるのではないかしら。

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春の予感

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