トムプロジェクト

2026/10/30
【第2246回】

森絵都著「デモクラシーのいろは」読了。終戦直後の混乱を極める日本で、4人の個性あふれる女性たちが集められ、堅物教師による民主主義を学ぶ講義が始められます。その六か月にわたる濃厚な時間を面白おかしく、スリリングに執筆する作者の力技と技巧に感心しました。ところどころにご都合主義的なシーンも登場しますが、一気呵成に読者の集中を途切らせることなく、最後はほろりとロマンで落とし込むところが憎いですね。
何といっても破天荒な4人の女性揃い組のキャスティングに成功。これは、どこかの映画、演劇プロデューサーが虎視眈々と映画化、舞台化を狙ってるはずです。おいらも読みながら、この4人は、あーでもないこーでもないとの思いを抱きながら女優さんの名前が浮かんだり消えたりと、これまた違った読書の時間でございました。この辺にどうしてもプロデューサー稼業の習性が顔を出してしまいますね。
そんなエンタメ性を匂わせながら、今の日本が真の民主国家なのか?今のアメリカも民主国家なのか?世界がどうあれば平和で幸せになれるのか?なんて大切なテーマも読者に対し熟考せねばなりませんよ!とさりげなく迫ってる点もさすが直木賞作家。

民主主義なるものの長い歴史、アメリカと欧州が勝ち取った民主化の違い、今まさに世界が直面している資本主義との併存がもたらす弊害など、そしてこの国の未来などなど...

読書の秋でございます。しばしスマホはお休みして虫の声を聞きながら、白い紙に並ぶ活字を読む喜びに浸ってみませんか皆の衆。

2246.jpg

ニャンで開けてくれないの!

 前の記事>>