トムプロジェクト

2024/03/29
【第1873回】

昨日、下北沢ザ・スズナリで水谷龍二作・演出「お目出たい人」観劇。この芝居、今は亡きコメディアンたこ八郎さんのお通夜の時、皆笑顔で酒を酌み交わした光景を想い出して芝居にしたそうです。おいらも生前、新宿ゴールデン街でたこちゃんと何度か酒を酌み交わしたことがあります。ボクシング元日本フライ級王者から喜劇俳優由利徹の弟子になり、数々の伝説を作った怪優でもありました。右耳の三分の一が欠けていて「犬と喧嘩して噛み千切られた...」なんて言ってましたけど、実は居酒屋で客と喧嘩して噛み千切られたそうです。

いつも愛されキャラで酒場での人気者でした。そのたこちゃんも最後は水死の事故にあいました。海水浴場に行く寸前までゴールデン街で泥酔、海の家に着いても焼酎飲み続け海に帰っていったそうです。今から実に39年前の出来事でした。

今回の芝居をプロデュースした川手淳平君。以前、トムの新人公演にも出演したこともある役者なんですが、今回で3本目のプロデュース。プロデュース稼業を30年やってきたおいらも、彼の芝居に対する情熱、愛情、大したもんだと思いますよ。何といってもお金の問題、限られた入場者の中で如何に赤字を出さないか...借金抱えたらそれこそ一家離散なんてこともありえるんですから...そんなリスクを背負いながら役者である川手君がどうしてもやりたいという覚悟で臨んだ今回の芝居。プロデューサーとしても勿論、役者としてもなかなかのもんでしたよ。力の抜け具合、自分の立ち位置、素敵な役者ぶりでした。

人生、何事も夢中になれることがすべてです...どんなにお金、地位があっても燃焼できる対象を持ちえない人は寂しい時間の垂れ流しに違いないと思います。

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春の、ファンファーレ

2024/03/27
【第1872回】

冴えないこの国の唯一の希望の星であった大谷さん。連日メディアで推理合戦が報道されています。ほくそ笑んでいるのは裏金問題で困り果てていた悪相議員の方々でしょうね。それにしても先日、次期選挙に出ないと言うことで記者会見したあのおっさん、この国の幹事長を何年も勤めて居たのですから、驚き桃の木山椒の木でございます。質問した記者にふてくされた表情で答える姿がなんと醜いことか...同じ日本人としてとっても恥ずかしい。集金力が優れているだけで党の要職に就けること自体がおかしな話です。

所で大谷さんの記者会見。ほんとに怒りの感情を抑えての発言でしたね。長年、信頼し合って兄貴的な存在の一平さんに対する思いは確かに簡単な言葉で表現出来ないでしょう。スポーツの世界でほぼ頂点を上り詰めたら何かがあってもおかしくないと思います。好事魔多しって言葉がありますよね、調子がいいとき幸運が巡った時に、何故か水を差すサタンが登場するんですね...そりゃ人生ですから山あり谷あり、底に行ったときにどれだけ踏ん張り這い上がってこれるのかが勝負です。おいらも世界あちらこちら見させてもらいましたが、西欧人はどうしても有色人種に対しての優越感、もっと言えば差別意識はありますね。大谷選手に対しても快く思っていない人たちが居てもおかしくないと思います。こんな時こそ、良き伴侶になった方と二人三脚で乗り越えて欲しいと思います。

今日は春らしい陽気ですね。近くのサクラが一足早く挨拶してました。金曜日からは日本のプロ野球もいよいよ開幕、すべての人にとって喜ばしい心ときめく春であって欲しいのですがね...

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一足先に

2024/03/25
【第1871回】

先週、南青山にあるBAROOMにて上演された、村井國夫さんと沼尾みゆきさんによる歌と朗読による芝居を観てきました。題材は「「星の王子さま」、作者のアントワーヌ・ド・サン=テグジュペリが、むかし子どもだったひとりのおとな、親友のレオン・ヴェルトにささげた物語です。1943年にニューヨークで出版されて以来、世界のあらゆる国の人達に読み継がれた名作です。おとなは、だれも、はじめは子どもだった。(しかし、そのことを忘れずにいるおとなは、いくらもいない。)という冒頭の一文から始まり数々の哲学的な言葉も含め、近代文明に毒された人類に語られる言葉が今なお突き刺さってきます。

とても簡単なことだ。ものごとはね、心で見なくてはよく見えない。いちばんたいせつなことは、目に見えない...こんな言葉を発しながら自然界の生き物を登場させながら意味深に語り掛けてくる構成が実に巧みで幻想的である。

村井、沼尾さんの息の合った歌声と朗読で心地よいひとときでありました。今年80歳になる村井さん本当に精力的に活動されています。老いなんて関係ないのかな...まだまだマグマのように吹き上がる感情の方が勝っているに違いない。これから、今年なんと3本の新作の芝居を抱えているのですからくれぐれもお体を大切にしてくださいね!

昨日の大相撲春場所千秋楽、新入幕での優勝は1914年以来110年ぶりという快挙を成し遂げた尊富士の優勝インタビューがなかなか。「記録より記憶に残る土俵を務めたい。」青森県五所川原出身の24歳の青年、なかなかいいこと言うじゃありませんか。共に健闘した石川県出身23歳の大の里と共に新しい相撲の世界を作り上げて欲しいと思いました。

そして、大谷さん...明日自ら会見に臨むそうです。まさしく人生万事塞翁が馬、一寸先は闇、何が起こるかわからないカオスの世界でございます。

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もうじきだネ

2024/03/21
【第1870回】

一昨日、東京スカイツリー近くにある「すみだパークシアター倉」で、劇団温泉ドラゴン第18回公演「キラー・ジョー」を観劇。アメリカ、テキサス州のダラス郊外のトレーラーハウスに住む一家の話。数千ドルの借金返済のために実母の殺害計画を、表の顔は警官だが裏の顔は殺し屋であるジョーに依頼し一家はとんでもない方向に崩壊してしまいます。いやはや、すさまじい芝居でした。公園のチラシに【トリガーアラート】本作は次の表現含みます。暴力描写 性暴力描写 セクハラ描写 流血描写 火薬による銃の発砲...さすがに子供さんは観客席には存在していませんでした。舞台上でこれほど生々しい行為があると、観る人によっては嫌悪感を抱く人も居るかもしれませんね。そんな予見を感じながら何故上演に至ったのか...主宰者は、演劇において舞台上が世界のすべてだとするなら、この一家の崩壊は世界の崩壊のメタファーです。資本主義、新自由主義を追求した果ての、つまり一部の人間が富を独占した結果としての世界の崩壊です...と述べています。

表現はある意味無限です。その無限の中から何を切り取り作品にするかが勝負です。当たり障りのないものを創って観客が退屈するよりも、より一歩、いや近未来に向けてのメッセージを届けようとするアーティストが待機しているのも事実です。より魅力的、刺激的な作品で生ぬるい我がニッポン豆腐列島に一撃を!

ここ数日、世の中は大谷選手の話題で満載。そんな折に今日とんでもないニュースが飛び込んできました。7年間通訳として共にしてきた水原一平さんが違法賭博に手を染めたという理由で解雇報道。いや、本当に人生何があるか何が起こるか分かりませんね...ついさっきまで幸せそうな状況が一転して不幸せに、まさしくどこかで観たことがあるドラマのように...

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寒桜とスカイツリー

2024/03/18
【第1869回】

大相撲三月場所も昨日で中日を迎えました。一時はモンゴル勢の勢いで純日本産の力士は見る影もない有様でしたが、ここのところ新鋭、大の里に新大関、琴ノ若の台頭で再び盛り上がりを取り戻しつつあります。おいらの年代は野球と同じく相撲も人気のスポーツでした。若乃花、栃錦、吉葉山なんて人気の力士が勢ぞろい。なかでもおいらは吉葉山のファンでした。よか男のうえに心優しい関取でした。のちに大横綱になった大鵬はまだやせっぽちで幕下あたりだったと思いますが、新聞配達の帰り道、宿を構えていた万行寺での早朝稽古を見学した時、既にこの力士は大物になる雰囲気を備えていました。激しい稽古で知られる二所一門の稽古、それはそれは激しいものでした。そんな稽古を見ながらキヨシ少年は、おいらはまだまだ甘いと思いながら気合を入れなおした次第です。

今、多くの優勝を積み重ね引退した白鵬親方の処遇を巡って相撲協会が揺れています。考えてみれば、ここ数年の相撲人気を支えてきたのはモンゴル力士の活躍があってからだと思っています。彼らが居なければとっくに潰れていたかもしれません。確かにモンゴル力士の品性は感心しないことも多々ありました。引退した元横綱、朝青龍なんて力士はひとり汚れ役を買って出たダーティーヒーロー。でも強かった!異国の地で一旗揚げる根性はただものではなかった気がする。日本の力士がなんとひ弱に見えたことか...日本も豊かになり、相撲の世界に入る若者が減少したのも理解はできますが、入門したからには頂点目指す気概は持って欲しいと思って観ています。スポーツ観戦で一番つまらないのは、気持ちが見えないプレー、現役生活そんなに長くはないのだからファンの皆さんの記憶に残るプレーを残して欲しいと思います。

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開花を待つ神田川

2024/03/15
【第1868回】

昨日の参院政倫審での世耕弘成議員の堂々たる態度にある意味感心した次第である。あそこまで堂々と演じきれれば千両役者である。誰が見てもそのからくりを知っていながら知らないと言い切る面の顔の厚さはただものではない。ほとんどの国民が説明されてないと声をあげているにも関わらず誰一人として一切明らかにしようとしない議員集団がこの国の権力を握ってることに只々呆れるばかりである。せめてもの若手の議員が立ち上がって異を唱える行動を起こせばまだしも、なんともへんちくりんパーティを開催し失笑を誘う有様である。誰もが我慢を重ねたコロナの時期、物価上昇でやり繰り生活を強いられた中、この厚顔無恥集団がコソコソと裏金作りに邁進していたかと思うと怒りを覚える。

一方、株価は上がり春闘での賃金アップ、なんだか景気の良い話に聞こえるのだが、この国の多数を占める中小企業の人達、年金生活者にとっては相変わらず苦境の日々が強いられているのが現状だ。世界幸福度ランキングも先進国の中では最下位。よく失われた30年なんて言葉を耳にしますが、このままだとこの先、失われっなっぱしの日本の未来が見えてきそうです。

「桜が一週間で散るのは、われら日本人が飽きっぽいからだ」なんて言われないようにますますの監視ともに、選挙には政治家の質をあげる投票をしましょう。

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弥生の月と星

2024/03/13
【第1867回】

昨日は春の嵐で一日荒れ模様の天気でしたが、今日は一転春らしい日和になりました。東京の桜開花宣言予想が3月19日と発表していました。年毎に早くなってきてますね。これも地球温暖化のせいでしょう。一年の中で、春の予感ほどウキウキするものはないでしょう。

人間生きてていつもこのワクワク感があれば人生楽しいに決まっています。その楽しみは待っていても訪れるものではありません。始終クンクンと嗅ぎつけ感じるチカラを保持してないとダメなんですね。

漫画家の東海林さだおさん、86歳になっても好奇心旺盛、生きることを楽しんでいます。

東海林さんの「おでん」に対する彼なりの見方が面白すぎて笑っちゃいます。

世界的和食ブームで、先陣を切ったのは寿司で次はおでんでは?でも、おでんはあまりにも身なりが貧しい。ほとんどが色は茶色、田舎っぽく、形もむさくるしい。たとえばチクワ、茶色いボロのようなものを全身にまとっている。おまけに体のまん中に穴が開いている。穴もボロも繕ってから人前に出るのが礼儀ではないのか。だが、聞くところによると、この穴はおでんのツユがよく染みこむようにチクワ自ら開けたのだという。チクワは我が身をなげうってまでおでんになりたかったのだ。だが、その一途は、はたして世界の人々に通じる一途なのだろうか。西洋合理主義から考えれば、商品の穴は欠陥である。だが、こういう考え方もある。チクワの穴の中には何も存在しない。無である。無は禅の教えにつながる。禅の教えを具現化したものがチクワということになる。ビートルズのジョン・レノンは禅に傾倒していた。ジョン・レノンは理論上チクワを食べていたことになる。そういうことになれば、世界中の人々はアッというまにチクワのファンになりおでんのファンになっていき、世界中におでんブームが巻き起こる...てな訳です。

どうです!この飛躍、こじつけ、いや想像する遊び心...いつどんな時にもこうやって生きてりゃ言うことありまっせん!さあ、今日から実践してみてはいかが皆の衆。

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春の公園

2024/03/11
【第1866回】

東日本大震災から13年。未だに避難者が2万6000人、そして、人が死んでしまうレベルの放射線を放つ溶け落ちた核燃料「デブリ」の取り出しは数グラムでさえ、13年たった今もできていません。そんな状況の中、岸田政権は原発の再稼働どころか新原発の建設まで打ち出しているのですから狂気の沙汰としか言いようがありません。聞くところによると、日本の原発の停止はアメリカの都合によってできないそうです。すべてがアメリカのお伺いを立てられないと事が進まない敗戦国の宿命、そして日米軍事同盟の縛りがそうさせています。今年元日に発生した能登半島地震然り、このままいけば地震大国日本は自ずから消滅してしまうに違いありません。何とかアメリカを粘り強く説得できる政権が誕生することを願うばかりです。

未だに故郷に戻ることが出来ない帰還困難区域の人たちの諦めに似た表情、我が子を津波に流された海を眺めながら「死ぬまで諦めきれない...」とつぶやく年老いた母親、この日が来るたびにあの惨状が甦ってくる人たちの悲しみを、残された人たちがどう受け止めるか?腐りきった現政権は勿論、この現状を少しでも前に動かす人材、システムが機能しないことに怒りと悲しみを覚えます。

昨日、村井國夫、音無美紀子ご夫婦による、歌と朗読で紡ぐ愛の物語「恋文」に行ってきました。その中で、お二人の知人である方の手紙に思わず涙しました。東日本大震災当日、津波に遭遇しながら奥様が必死に手を差し伸べながらも力尽き流され、一カ月後に見つかったご主人。そのご主人にあてた「恋文」、音無さんのところに送られ直筆で書かれた巻紙を朗読する音無さん、その「恋文」に沿う歌を唄う村井さん。両夫婦の思いが一つになる感動的な瞬間でした。

原発のない、そして戦争がない世界...どうすれば良いのか!今生きているニンゲンが思考し行動しなければいけないことを肝に銘じなければならない3月11日です。

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「恋文」町田まほろ座にて

2024/03/08
【第1865回】

先月亡くなった小澤征爾の芸術と銘打ったCD16枚組の壮大且つ繊細なる音すべて聴き終えました。改めて、小澤征爾なる人物の生きざまが、命を懸けてタクトを振る姿が目に浮かぶ。魂をスパークさせる指揮が、決して西洋の借り物でなく音楽そのものに国境が無いということを実践した人でもありました。25歳の時、インド洋の真ん中で貨物船のテッペンに登って、水平線をジロジロ見回した時、なるほど地球は随分でかくて、丸いものだと思ったそうだ。敗戦を経て世界に対峙しようとした心意気を感じる。N響とのトラブルにもめげず「僕はただ音楽をやりたい!」と世界に打って出た行動力も半端ではない。

どの世界においても冒険心からスタートした人ほど、とてつもないものを生み出している。

夢は追うものではなく、しがみつくもの。地位や名誉に翻弄されることなく、己の忠実なる魂にしがみつき行動する姿こそが新しい価値観を生み出すのではないか。

小澤さんはこんなことも言っていた。楽器から流れ出す音は人間の声と同じである。だからこそ、あれほど人目もはばからず情熱をもって演奏者に伝えるスタイルを維持し続けたに違いない。

お隣の韓国、中国、そして我が日本、もうそろそろ立身出世の妄想にピリオドを打ちませんか?いい学校に進学、一流企業に就職したからといって幸せな人生とは言えません。そんなことにお金と時間を投資するんだったら、己の心に真摯に向き合うことに投資し決断、行動し、自分の道を切り開いていく生き方の方が魅力のある人生だと確信します...一度きりの人生ですから!

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今朝の杉並区

2024/03/06
【第1864回】

昨日、新宿西口地下イベント広場でこんなものを見つけました...懐かしいですね。おいらが子供の頃は、こんな看板に憧れて映画への夢を育んだ気がします。手書きの看板の前に佇み、観たいのはやまやまなんですがお金が無く、入場するおっさんの傍に寄り添いあたかも親子のようになりすまし無料鑑賞をしたこともありました。

この看板を描いた人は、今は亡き久保板観さんです。中学一年生の頃から映画看板の絵の練習にのめりこみ、昭和32年、中学卒業後に東京青梅市にある映画館「青梅大映」で看板絵師の仕事をスタート。年間365枚以上の映画看板を描く生活をしたそうだ。その後、テレビの出現により映画産業も斜陽の憂き目にあい仕事がなくなり、商業看板業に転職。平成3年から地元商店街町おこしに馳せ参じ、平成6年からは青梅の商店街に昭和の映画看板が飾られるようになった。久保さんは平成30年脳梗塞により逝去、享年77歳。

そんな久保さんが精魂傾けて描いた看板を前にして、暇さえあれば映画館に通った日々が甦ってきます。高校時代は福岡市高校映画連盟を創設し毎日のように会長という権限を縦横無尽に利用、いや活用し、中洲の映画館に入り浸りでございました。そして、お嬢さん学校も巻き込み映画談義で楽しい時間を過ごさせて頂きました。決して映画を利用したのではございませんことよ、とことんおいらは映画が好きだった!映画にかかわる仕事がしたいという思いで東京行きを決めた次第です。

それにしても、何事においても利便性が問われる現世、このローテクな職人芸、そして生き方、貴重ですし大切にしたいですね。

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昭和の名画

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