トムプロジェクト

2025/06/30
【第2054回】

先週の土曜日、今年初めてのベルーナドーム参戦。この日の試合はライオンズ対日本ハムファイターズ、今年のハムはもりもりのボリューム、ホンマに強いです。あの個性あふれる黒マスク新庄監督の勘がさえわたり首位を突っ走っています。この日も8回裏まで2対1で敗戦濃厚、ライオンズも2アウトまで追い込まれたのですが、若手の長谷川選手の逆転3塁打で何とか勝利をもぎ取りました。それにしても完売御礼!満員の観客席からの応援が半端じゃありません。グランドから地響きがするくらいの圧倒的な声援に選手が燃えないわけがありません。と言っても、所詮もともとチカラがある選手だからこそ、その声援に応えることが出来るというものでございます。この世界はすべて数字に表れます。低打率のバッターにいくら声援を送っても確率は少なく「やっぱりね...」「なんでいつまでも使ってんだろう?」と観ている側からしたらストレスが溜まる一方。今年のライオンズの西口監督、昨年の目を覆いたくなるような成績に比べれば良くやっているとは思いますが、調子が上がらない選手を我慢して使いすぎかなという疑問がありますね...それを補っているのが今年から外部招聘されたコーチ陣。昨年まではライオンズのOBコーチが、ちんたらちんたら選手と馴れ合いの関係での指導だったためなんと49勝91敗3分 勝率.350断トツの最下位。見るに忍びない惨状でございました。やはり指導者の違いでここまで善戦できるのかを目の当たりにしている今シーズン。まだまだ勝負はこれから、何とか3位以内になって優勝を狙える戦いをして欲しいもんですね。都心から所沢はやはり遠いですね...勝ちゲームの帰りの電車は気分いいんですが、負けゲームの帰りは地獄の時間でございます。

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初参戦

2025/06/27
【第2053回】

昨日何となくTVをつけたら、1981年6月に行われた「美空ひばり芸能生活35周年記念リサイタル 武道館ライヴ」の模様が放送されていました。久しぶりの聴いた美空ひばりの歌声は圧倒的でした。思えば若い頃、美空ひばり即芸能界、そして山口組がバックについているなどなど、反体制、既成の概念を嫌悪し新しい価値観に目覚めようとしている者にとってはあまり興味の対象ではありませんでした。44年前に武道館でこんなことをやっていたことも、勿論知りません。人は年を重ねることによって、改めて表現の深淵なるものを覗かせてくれるんですね...「悲しい酒」「愛の讃歌」「昴」、演歌にとどまらずあらゆるジャンルの歌を、七色の声を使いこなしながら決して重くならず軽快に歌いこなす彼女は、やはり不世出の歌姫である。この日、44歳の彼女はすべてに光り輝いて見えました。なんだか8年後の死を悟っていたのではないだろうか...太く短く波乱を含めての人生だからこそ、あれだけのヒット曲を世に送り出すことが出来たともいえます。

昨日の美空ひばりさんの歌を聴きながら、改めて言葉の大切さを感じました、今はやりの音楽が曲とリズムを重要視するあまり歌詞が入ってきません。勿論、時代の流れだとは思いますが歌の言葉がないがしろにされている気がしてなりません。考えてみれば、今の時代を動かしているトップの輩が吐き出し言葉の何と軽いことか...仕方ありませんかね。

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行きつけの喫茶店

2025/06/25
【第2052回】

昨日は新橋演舞場で「東京喜劇 熱海五郎一座 新橋演舞場シリーズ第11弾黄昏のリストランテ ~復讐はラストオーダーのあとで~」を観てきました。笑いと言えばやはり関西、それに対抗するかのように、この一座は江戸の軽演劇を広めようということで伊東四朗さんが2004年に三宅裕司さんと共に『伊東四朗一座』を立ち上げたのが始まりです。その後、伊東さんが抜け、伊東の手前が熱海、四朗の次が五郎ということでこの一座の名前になったそうだ。この軽いノリで、しつこい笑いではなくシンプルな笑いをお届けしたいという趣旨がとてもわかる興行でした。出演者の皆さんも芸達者で笑いのツボをしっかりとおさえて飽きさせない構成になっていました。このスタイルは、東京の軽演劇をリードしてきた由利徹、佐山俊二、南利明に相通じるものがあります。関西がお好み焼きのこてこて感とするならば、関東の笑いはお茶漬けの味かな...どちらが好きかはわかれるところだが、東西が競い合ったからこその笑いの文化だと思います。

今回のゲストである羽田美智子さんがお茶漬けの味をなお一層美味なるものに仕立て上げていましたね。2023年にトムで上演した「沼の中の淑女たち」でも、彼女の天然ボケを思わせる芝居にはおおいに楽しませていただきました。普段でも全くの飾りがない自然体の方です。デビュー以来末永くこの世界で活躍されている理由が良く分かります。会場を後にするお客様も、なんともすっきりしないこの世を暫し忘れさせてくれたんじゃないかしら...

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雨に打たれて

2025/06/23
【第2051回】

今日は沖縄戦が終結してから80年の節目の日である。沖縄が日本に復帰してから一体なにが変わったのであろうか?未だ地位協定のことですら言い出さないこの国のトップがこの日の追悼式で「平和で豊かな沖縄に向けて力を尽くすことは国家の責務だ」なんて喋っているけど何度聞いても虚しい。本気で交渉する気もないのに、なんと政治家の言葉が軽いのかと改めて思い知らされる。あの地獄のような沖縄戦で生き残った高齢者の言葉の重さを受け止めることの出来ない為政者の鈍感さにはただただ呆れるばかりだ。そして遅々として進まない沖縄の現状に対して、歴史を歪曲する発言をする輩が政治家としてのさばっているのだからたまげたもんである...この国もジワリジワリとポピュリズムに乗っかって右傾化する流れが進行しつつある。先の知事選で予想外の得票を重ね、何を勘違いしたのか今回の都議選で多くの立候補者を立て、賑やかし的な行動で注目を集めたかったであろう新党も当選者ゼロで終わった。今の若者はSNSで情報を取得し投票するパターン、これだけ自由気ままに乱暴な情報の垂れ流しであればフェイクニュースも当たり前。スマホ中心の生活習慣から抜け出せない人たちの想像力の退化が心配である。

そして、トランプのイランの核施設の攻撃...間違いなく世界は負の連鎖の道を辿っている。

プーチン、習近平、トランプ、金正恩、こんな輩が目立つ状況に残念ながら未来はない!

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今日の空

2025/06/20
【第2050回】

昨日、久しぶりに日本映画を観てきました。上方歌舞伎の世界を描いた吉田修一原作、李相日監督の「国宝」。3時間という長丁場でしたが飽きませんでした。吉沢亮、横浜流星という今をときめく若手スターが1年半歌舞伎の所作を含め古典の世界にのめり込んだ成果が出てたと思います。ましてや女形という、表現も含め身体的な能力が試される数々のシーンを見事に演じていました。そりゃ本職の方々と比べれば、なんだかんだと細かいところも含めて言われてしまいますが、これはあくまで映画という手法を借りたフィクションですから。女形の長老を演じた田中泯さんさすがですね。この方の舞踏、半世紀前から観ていました。床に転がり全裸でユニークな踊り、さすがにおちんちんにはガーゼ巻いてましたね、猥褻罪で逮捕されますから。人生後半からいきなり俳優デビューを飾り一目置かれる役者としてあっちこっちで引っ張りだこ。今回の所作も何となく舞踏っぽいところがなんともおかしかった。あと寺島しのぶさんの演技が演技に見えなかった。実際、梨園の世界で女性として生まれ育ってきた彼女の表情一つ一つが、梨園の裏社会に対する理不尽な怒りに見えた。ここだけが何となくノンフィクションなのが面白い。

やはり映画はよかですばい。しかし莫大なお金がかかる...今、おいらの原作である「エル・スール」も武正晴監督の下、いろんな方々が映画化に向けて動いてくれています。昭和30年前後の博多の街と西鉄ライオンズ、でっかいスクリーンで観たかですばい。

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新宿西口再開発中

2025/06/18
【第2049回】

昨日、大谷選手の二刀流復活が大いに話題になりました。おいらもTVで観ましたが大谷選手えらく楽しそうでしたね。考えてみれば、投げて打ってなんてことどんなスタープレーヤーだって夢のような世界です。それをいとも簡単にやってしまう大谷選手、やはり観る価値がある選手です。そういえば彼の苦しそうな表情は見たことがありませんね。あの童顔と笑顔は貴重です。今や、世界は又もや第三次世界大戦に見舞われそうな状況の中、球場には5万6千人の観衆が集まり一喜一憂しているんですからなんとも不思議な光景...今日もトランプがイランの核施設に攻撃するかも?なんて報道がなされているにも関わらず。

二刀流と言えば、おいらも小さい頃から二刀流どころか三刀流の働きをしていましたね。新聞配達、おきゅうと売り、氷配達などなど。辛いなんてこと一度も考えたことがありません。新しいことやればやるほど新しい発見があり未知なる領域に吶喊する心意気でございました。この世界で様々な体験を経てきた人たちの立ち振る舞いは、その後のおいらの生きる糧となりました。しかも底辺で蠢いている人たちの物言わぬ一挙手一投足は、幼き心身を震撼させました。

どんな状況であれ、笑顔が世界を救うことは間違いありません。そして感謝の気持ち...こんな単純なことを難しくしているニンゲンという生き物やはり変です。

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梅雨の晴れ間

2025/06/16
【第2048回】

週明けいきなりの猛暑、身体がついていけません。後期高齢者になってからの体調管理は随分と気をつけているんですが、何の前触れもなく急激に襲ってくる気候変動には少々戸惑い気味です。でも、生きているんですからなんとか踏ん張ってといいながらも、あくまでもマイペースで過ごしています。なんといっても自然の恵みに感謝です。

一体全体、どこで売っているの備蓄米?おいらの生活圏で出入りするストアーで目にしたことがないどころか、品薄のコメ棚に又もや高額の米が並んでいます、TVでは威勢のいい2世農林水産省大臣が父親とそっくりの口調で手柄話の如く語っているんですがね...問題は目先のことではなく、なんで今回の米騒動が起きてしまったのか、その徹底的な解明無くして問題の解決にはならないと思います。この部署ばかりではなく、長年の自民党、官僚、企業の癒着の構造をぶった切っていかないと未来への展望はないでしょう。

メディアも然り、今回の騒動の課題を話題へと報道して面白おかしく流しています。その主役として2世のボンボンはうってつけの存在だったに違いありません。この国の人のいい選挙民もころっと騙され続けて戦後80年が経ってしまいました...今回も第二小泉劇場の始まりかもしれませんね。アジェンダ(政治的課題)をトピック(話題)に書き換える天才的な才能がこの親子にあります。といって野党もパッとしませんな、党利党略に走り現体制を倒すチャンスを自ら失っています。一時、支持率が野党のなかでトップになった話題の人も所詮足元の定まらない御人なんですね。自分で参議院選挙の候補者と誘っておきながら、ネットで強い批判が出ると、掌返しで公認を取り消す。国民受けが良くないと判断すると即切り捨てるなんて政治家である前に人間としての修行をしてくださいな!

22日には都議会選挙、このご時世偽情報が氾濫してますんで、よくよく考えて投票しないと、ますます小池にはまって、さあ大変!になっちゃいますね...

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まだまだ見頃ですよ

2025/06/13
【第2047回】

梅雨の季節には家に居ながら、ビル・エバンスの曲を聴くのがベストですね。おいらも断捨離の世代なのに最近やたらとビル・エバンスのCDを買ってしまう。以前あるやつも含めると30枚くらいあるのかな。1926年生まれの彼は、当時ニューヨークを拠点としたジャズ演奏家としては少数派の白人ピアニストであり、従来のブラックルーツとは一線を引いたヨーロッパとクラッシックの伝統を重視した存在であった。クラシック印象派に通じる部分に加え、彼の中には日本の禅や墨彩画に影響を受けたであろう曲、演奏が多々見られる。彼が墨彩画のなかにある墨一色の絵の手法に、ジャズの純粋な即興演奏の精神と相通じるものを感じたに違いない。彼の書棚には心理学、哲学、宗教、文学などなど多岐にわたる本が並んでいたらしい。確かに彼の曲を聴くと繊細で内省的、そしてインテリジェンスなものを含んでいる。

最初のトリオを結成したときのベーシスト、スコット・ラファロの存在も大きい。ベースという楽器がどちらかと言えば縁の下の力持ち的役割なのだが、彼の繊細かつ大胆な演奏は大黒柱的な存在へと押し上げた。「ポートレイト・イン・ジャズ」のアルバムに収録されている「枯葉」は何度聴いてもたまらんです...その彼も25歳にして交通事故で亡くなり、その後ビル・エバンスも何とか立ち直り音楽活動30年、51歳までにリーダーとして50枚以上のアルバムをリリースしました。

この時代、スポティファイ、アマゾンプライム、ユーチューブなどなどCDなんぞは不要になりつつありますが、CD、レコード(最近やたらと値上げしてコレクター相手の商売に辟易)を手にして音楽に向き合う姿勢こそミュージシャンの対する最大のリスペクトだと思っとります。

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神田川にて

2025/06/11
【第2046回】

関東もいよいよ梅雨入りしました。ジメジメしているんですがなんかしらホッコリします。なんと言っても紫陽花が喜んでいますね。一年間、この日を目標にしてきた晴れ舞台です。いろんな衣装を纏いながら、道行く人達にアピールしています。神さんの贈り物はたいしたもんです、季節に合わせてどんぴしゃりのプレゼントを魅せてくれるんですから...

プロ野球交流戦も始まりましたね。2005年から20年が経ちました。パリーグが声掛けしたのですが、多額のテレビ放映権収入を見込めていた巨人戦の試合数が減少するとしてセ・リーグがそれを拒否するという状況が続いていました。その巨人も昔ほどの人気も無くなり、交流戦は新たな野球ファンを獲得したと思います。

我がライオンズは交流戦に関しては2年連続最下位。今年こそ最下位脱出と思いきや先週広島カープに3連敗、今年も怪しくなったと思いきや、昨日、現在首位を走る阪神タイガースに逆転勝ちしました。8回表まで2対0で今日もあかんかな?とテレビを暗い気持ちというより諦めていたところ、ライオンズの小兵、滝澤夏央の大活躍で逆転勝ちをしました。

2021年のドラフト会議育成2位で入団して4年目、身長164cmと、2025年現在のNPB現役選手の中では最も身長が低いが、50メートル5秒8の俊足を活かして今年ようやく開花した感じです。今は大リーグも含めて大柄な選手の活躍が目立ちますが、滝澤選手みたいな人が出てくることによって、ちびっ子野球小僧へのおおいなる励みになることは間違いないでしょう。この交流戦、なんとライオンズだけがホームランなし...でも、小技を活かしながらプレーするスタイルもなかなか味わい深いものがありますよ。

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井の頭線

2025/06/09
【第2045回】

今年も花園神社に紅テントが建っていました。唐組第75回公演「紙芝居の絵の町で」を観劇。この紅テントに足を運んだのが58年前、おどろおどろしい役者がテントの中でくり広げる世界はまさに血沸き肉躍る、世にも不思議な感覚に襲われしばらくは日常に戻れませんでした。既成の演劇を変え、この時代にマッチした唐十郎の戦略は見事としか言いようがない。その唐さんも昨年亡くなりました。

今回の芝居、長年唐組に在籍したメンバーも少なくなり、若手主体の公演でした。嘗ては根津甚八、小林薫が演じたであろう役を若手がのびのびと演じていました。主題である紙芝居の絵が、登場人物の時間と空間を縦横無尽に往来し迷宮の世界に誘う。唐ワールドの特徴であるロマンあふれる万華鏡のごとき台詞が、観客の予想外な個所に徹底して襲来してくる...それを理解しようとする間もなく次なる台詞が速射砲のごとく追い打ちをかけるもんだからテント内は異次元の世界、己の感覚を研ぎ澄ましていないと置き去りにされてしまう。

唐さんの言葉は論理で解明しても答えは出ない。己の身体を曝け出して演じないと役者自体が荒唐無稽なモノに転じてしまう危険性を秘めている。その肝心なところを、演出の久保井研さんが上手く指導しているに違いない。本人も重要な役をこなしながら大変だったと思う。唐組の表、裏を支える藤井由紀さん、唐さんの娘さんである大鶴美仁音さんも素敵でした。

若い観客も増え、新しい唐組の予感を感じた公演でした。

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新宿花園神社にて

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