トムプロジェクト

2023/10/25
【第1814回】

久しぶりに挫折してしまった。第168回芥川賞受賞作、井戸川射子著「この世の喜びよ」。

ハナシの筋は、50歳くらいと推定される主人公の務めるスーパーで、15歳の少女と出会い、仲良くなり、喧嘩し、仲直りに向かう、という小世界を描いたもの。この作家、もともと詩人で言葉の選択が独特と言うより、イメージ先行で思いついた言葉を感性に従って配置しているので、主語が途中で入れ替わったり、助詞の使い方などなど従来の文章と比べかなり違和感を覚えるぶんかなり読みづらい。そして何故か言葉がすんなりと入ってこないのである。作家が敢えて、従来の小説にたいする新たな試みとして新しい文学の在り方を提言、提案しようとしているのかな?でも、入ってこない言葉ほどイラつき虚しくいらだたしいこと極まりないのでございます。

権威好きで文壇という特殊な群れに安住なさってる芥川賞選考委員の高邁な先生方、時折、いったい何を基準にして賞を選んでるのかな?と思うときがたまにある。紙文化が危ぶまれている昨今、出版業界にも忖度しながら仕事しなきゃならんのも分かります。なにも無理して賞を出す必要もないと思います。今年度は受賞作なし!こんなことがあっても決しておかしくありませんことよ。

賞を受賞しなくても世界的な作家になった村上春樹氏が居るんじゃありませんか...権威を重んじるあまり逆に、この国のカルチャー地盤低下してるんじゃないかしら?と思ってしまいます。

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色づき始めました

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