トムプロジェクト

2024/06/26
【第1909回】

2019年の初演以来、今回の公演が4回目となる「風を打つ」の稽古が始まりました。

この作品は水俣病が公式に確認されてから68年過ぎても未だ苦しんでいる家族を描いた芝居です。

先日も環境省と水俣病の患者等の団体との懇談会で、被害を訴える発言中にマイクが切られるという由々しき事態が発生しました。国側が設定した3分の持ち時間を超えたと言う理由で...この国の政治、行政がすべてにおいて都合の悪いことは過去のこととして切り捨てようとする姿勢の表れです。そしてもう一つ、水俣病に限らず、環境破壊、汚染と分かりながらも社会を豊かにすることを優先し、それをしっかりと享受し繁栄に乗っかった国民のひとりひとりにも利害の当事者であることを忘れてはならないと思います。

沖縄の問題にしても然り、米軍基地のほとんどを沖縄に負担させ本土を守って貰いながら一向に沖縄米軍基地の分担を口にしない政府、都道府県。都合の悪いことは口チャックするか、もしくは無関心を装うという悪しき習性が残念ながら未だこの国に蔓延しています。

許せないこと、納得いかないこと、そして弱者を切り捨てるというもっとも卑劣なことに対しては徹底的に発言、行動していかなくては決して真の豊かな国にはなり得ないと思っています。

稽古初日の本読みも皆さん気合いが入っていました。我々は芝居という手段を通じて少しでも希望が持てる社会を形成できればと思っています。

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杉並区柏の宮公園

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