2024/06/19
【第1906回】
飴屋法水著「たんぱく質」読了。この方、以前は唐十郎さんの状況劇場に在籍し、その後自ら劇団を創りアバンギャルド的作風を公演していました。おいらも何度か観に行ったのですが、なかなかおもろいことやっているなと言う印象を持っていました。なるほどこの本を読んでみてよく分かりました。
人間は水分を除けば半分近くがたんぱく質で出来ていて、この世に生息している動物、虫と成分的になんら変わることは無いのだが、死後他の生きものの栄養分にもならず焼くか埋めるしかできない生きもの。そんな生きものとして生まれた事に対する自分なりの考察を散文詩的に記した一冊だ。日常生活に現れるゴキブリ、何億年先に消滅するであろう地球や宇宙のこと、60数年生きてきて命の終わりを感じながら過去と未来を綴った84の断章。
どこの章も合理と不合理、自然と反自然、自由と不自由が交錯し、自分は一体何物なんだという思考を繰り返しながら...つまるところ、おのれは人間という動物であるたんぱく質だと位置づける。そして思考することが自分の宗教であり、果てしなく考え続けることしかないと...人間の業、悲しみ、怒りを見据えた祈りの書かも知れない。
本日、改正政治資金規正法が19日の参院本会議で可決・成立した。裏金の解明もままならず、抜け穴だらけの今回の法案、どんな顔して賛成票を投じたのか驚くばかりである。国民をなめ切った政治屋に鉄槌を下す時が来た!
神田川