トムプロジェクト

2024/07/31
【第1923回】

今年の「風を打つ」公演、29日の松山市民劇場で無事千秋楽を迎えることが出来ました。今回は、亀戸文化センター・カメリアホールと演劇鑑賞会の四国ブロックの方々には本当にお世話になりました。演劇を楽しみに待っている人たちにベストな芝居を届けたい!という思いで、猛暑の中稽古をし本番に臨んだキャスト、スタッフの意気込みが客席に伝わったと思っています。水俣と家族、そしてこの国の未来、演劇を通じて少しでもいい方向に向かうことを信じての4回目の公演でした。

そして、錦糸町の稽古場では新作「かへり花」の稽古が始まりました。トムにとっても日向十三という新しい作家を迎えての作品です。この30年間、プロデューサーとしての一番の仕事は作家探しの旅でした。芝居は戯曲が良くないと、どんな名優が束にかかっても作品としては成立しないと思っています。この国においては劇作家の環境はあまりよくありません。あらゆる書き物の世界で戯曲ほど難しいものはないと思っています。すべてが台詞のみで進行していくわけですから一語、一語、登場人物の血の通った言葉でないと成立しない厳しさがあります。そんな条件の中で、限られた観客、すべてが人的労力という限られた経済効果のなかで得られる収入もほかの物書き産業から比べると決して高いものではありません。でも戯曲家の皆さんは、演劇の可能性を信じ、志を高く掲げ日々研鑽しています。そんな人たちと一緒に仕事出来ることは望むところです...でも、同じ価値観を共有できる人なんて人もなかなか出会えないのが実情です。

そして、久しぶりにマッチしたのが日向十三さんでした。9月2日の俳優座劇場での初日が楽しみです。

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稽古場の近くから

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