2024/09/19
【第1941回】
いろんな芝居創ってきましたが、終わった後、沸々と思い返す作品もそうは多くはないと思います。2週間経ってもいまだ不思議な感覚が甦る「かヘり花」、こんなハガキが舞い込んできました。
「かヘり花」は演劇の楽しさを広げる作風です。以前フランスで観たコントを想い出しました。所謂、日本の軽演劇とは違い、物語あるいは寸劇の類ですが、ユーモアはもちろん人生を語る機知に富んだものでした。その時を何十年も経って思い起こさせる洒落た舞台の展開に時を忘れて引き込まれました。周りの観客の笑い声も共感を漂よわせる笑いで、各々人生に振り返りあるいは登場人物の一挙手一投足を一緒に楽しんでいた風情でした。鍋で爆弾の材料を煮込んでる様は、当時観たフランスコントの中の魔女が秘薬を煎じる姿と重なり思わず何が出来るんだろう?と成り行きを見守ってしまいました。結果花火のような爆薬に化けたとはまさにウィットそのものです。実在したのか、あるいはすでに影の存在になってしまったのか観る者の解釈に委ねられた三人の主人公と、その反対に今を示している若い二人の対比も話の展開を興味深くしました。2時間ほどパリの芝居小屋に居る気分でした。拍手!
この日本の風土では、なかなか生まれにくい作品の登場でした。改めて日向十三の描く世界をこれからも観てみたいと感じた次第です。
キノコと脱け殻