トムプロジェクト

2024/10/30
【第1957回】

先週の10月25日(金)東京福岡県人会懇親会に出席しました。この日はトム・プロジェクトでも過去に4度上演した「エル・スール~わが心の博多、そして西鉄ライオンズ」の映画化に向けた宣伝もしてきました。映画化のきっかけは、「百円の恋」「全裸監督」「アンダードッグ」、今月からアマゾンプライムで全世界に放映開始した「龍が如く」を監督した武正晴さんの申し出から始まりました。

 

2014年両国シアターXで盟友、清水伸さんの案内で「エル・スール〜わが心の博多、そして西鉄ライオンズ」を観劇した。先の大戦からの戦後10年。昭和30年代の九州博多を舞台にした物語だ。上演後、図らずも慟哭している自分に驚いた。これ程までに身体が震えた観劇は記憶になかったからだ。幼い頃、北九州出身の母から何度となく聞かされていた、西鉄ライオンズの日本シリーズ三連覇。野球の魔術師、三原脩監督が東京の巨人軍を返り討ちにした奇跡に博多だけでなく、福岡、九州が沸いた1958年。神様仏様稲尾様、豊田、中西、大下等の野武士軍団は敗戦国日本の戦後復興の軌跡として語り継がれる要因の一つだ。貧しい少年達にとって平和台球場に向かう坂道は、まさしく夢と希望の道程であった。

そしてもう一つ、映画が敗戦に打ちひしがれた人々のエネルギーとなっていた時代。映画とは本来、弱者の糧になるものでなくてはならない。今創られている映画にその力があるのか?糧となっているのか?と自問自答してしまう。

「エル・スール」という作品から、自分が生きて来た日本の社会が失っていったエネルギーを思い知らされる。いや、自分自身がエネルギーを失っていることに気づかされた。父や母の青春時代を想う、有難い舞台を見せてもらった。これを何とか映画として多くの人に見てもらえないかと強い衝動に駆られた。その衝動から10年が過ぎてしまった。自分自身の雑事で精一杯の10年に自戒の念しかない。コロナウイルスによって、映画館で映画が上映されないという想像も出来なかった日々を体験した。生活様式の変化に拍車がかかり、日本中の街が開発という名の破壊を続け始めている。

 

以上が武監督の製作意図です。原作・岡田潔、脚本・東憲司。15年前に上演された芝居がこういう形で映画化されればおいらとしても嬉しい限りです。

肝心なことは映画製作費、膨大なお金をどうやって集めてくるのか?この日の県人会でも監督と共に熱く語ってきました。皆さんも応援しますと言っていただきましたが、まだまだこれからです。どなたでも結構です、応援、賛同していただける方がいらっしゃいましたらおいらのところまで是非知らせていただければと思っとります!

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雨あがる

2024/10/28
【第1956回】

駆け足衆議院選挙の結果が出ました。予想通りと言えばそうなんですが、投票日5日前、非公認候補にも2000万円の活動費が支払われていることが明らかになっていなかったらなんとか自公で過半数獲得したかもしれませんね...それにしても一連の裏金問題の資料を提供した共産党が議席を減らすのも皮肉なもんです。立憲、国民民主党が共に議席を伸ばしたのもこの国の国民性が良く分かります。大きく右によっても左によっても駄目、程よく中道路線を選択した結果です。裏金議員も随分と落選しましたが、あの八王子の議員の当選だけは理解できません。モリカケ、統一教会、裏金、腐敗の三冠王を当選させるなんてこの地区の人達に対して全国から非難の声が上がっているみたいですが...この人相当あくどい手を使いながら地元民になにやらをバラまいたとしか思えません。テレビに登場する形相はインテリを装った悪代官と言ったところです。早速、自民党に復党して暗躍するに違いありません。昔見た東映時代劇によく登場していましたね...権力を笠にして数々の悪事を重ねる悪代官が何と憎らしかったことか。善良なる八王子の皆さん、どうか目を凝らして彼の一挙手一投足に監視の目を緩めないようにしていただきたい!と願います。

そして、いつもながらの投票率の低さ。有権者のほぼ半数が棄権しているんですから、何をか言わんや状態。政治不信、無関心などなど、いずれにしてもそんな人達、あとで文句たらたら言っても後の祭りでございますよ。

さてこの後、政局はどうなることやら...国民民主党が権力にすり寄るかもしれませんね?

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コフキサルノコシカケ

2024/10/25
【第1955回】

一昨日、新宿シアタートップスにて「片づけたい女たち」を観劇。この作品は20年前にトム・プロジェクトが制作しました。永井愛作・演出、出演は岡本麗、松金よね子、田岡美也子さん。当時勢いがあった人たちによる舞台はその後、多くの会場で上演されました。

新年の三が日も過ぎた夜中、心配になった50代の女友達2人が、同年代の友人の家を訪ねると、そのマンションの一室はゴミだらけだった。仕事始めを直前に控え、友人のピンチを放っておけない2人は、腕、膝、首の痛みに耐えつつ、片づけを手伝うことに。そんな時に限って思い出話は尽きることなく、ちょっとの片づけだったはずが、それぞれの生き方が見えてくるという筋立て......今回はともに50代の女優、松永玲子、佐藤真弓、有森也実さんで上演されました。20年経過しても、女性特有の悲喜こもごもは変わることがありません。

男性には手が届かない可笑しみが随所に散りばめられていました。

 

昨日はプロ野球ドラフト会議がありました。多球団に指名されたにも関わらず、意中の球団でないところにくじをあてられ困惑した表情をした選手の顔が印象的でした。当たりくじを手にして大喜びしている楽天監督とは対照的でした。楽天の監督人事、チーム誕生以来いつもごたごた。東北で頑張っているだけに応援したい気持ちはあるのだが、過去に疑念プンプンのライオンズ選手の移籍、独裁オーナーのお節介などなど、なんともすっきりしない球団になってしまいました。ドラフト1位に指名されても鳴かず飛ばずで終わってしまう選手。育成上がりで大リーグまで上り詰めた選手。こればっかりは分かりませんね...環境、指導者、そして運、でもやっぱり死に物狂いの練習があってこそのプロの世界。第二の大谷選手を出現させる気概で、日本プロ野球界も切磋琢磨して欲しいもんでございます。

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甘い蜜

2024/10/23
【第1954回】

先週は青山にある銕仙会能楽研修所で「蝉丸と逆髪」を観劇。久しぶりに表参道をぶらり、いやはや外国資本の高級ブランド店がずらり並んでおりました。あんな高い品物、誰が買うんでしょうね?お金持ったアジアの観光客、見栄っ張りのお方、なかには中身も備わった紳士淑女も居ることでしょう。こんな時代、お金をかけることよりも、もっと大切なことがたくさんあると思いますがね。

そんなブランド通りを過ぎたところに会場はありました、今回の芝居も、現代語で解く能の物語と謳っていました。能「蝉丸」は美しい節付けの人気曲。延喜の聖代と言われる醍醐天皇の第四皇子蝉丸は盲目ゆえに父帝から逢坂に捨てられ、髪が逆さまに生え登り、狂乱し放浪する姉逆髪との再会と別れを描く能。戦前は皇室に不敬に当たると上演を自粛していた時代もあったとのこと。世界でも一目置かれている能なんですが、なかなか一般大衆には何となく敷居が高くめったに観ることもない芸能です。今回のような形式であれば普通の芝居を観る感覚で楽しめると思います。今回の芝居を観て本来の能への興味を示す方もいるのでは。古典芸能と現代演劇がこういう形でクロスしていくことによって、新たな表現が表出されることは大変喜ばしいことではないか...既成概念に縛られてはなりません、アーチストは常に新たな地平を目指してこそ真の表現者でございます。

3人の出演者それぞれに良い味をだしていました。とりわけトム所属の鳥山昌克さんの存在感はピカイチでございました。それにしても能舞台の美意識、世界に誇れる空間のひとつであることに間違いありません。

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もうすぐ紅葉だね!

2024/10/21
【第1953回】

昨日は、横浜演劇鑑賞協会第325観劇会に呼んでいただいて、風間杜夫ひとり芝居「カラオケマン~ミッション・インポッシブル~」無事大千秋楽を迎えることが出来ました。長い歴史を持つ横浜演劇鑑賞会で2005年には協会創立35年で会員が選ぶ舞台第一位になった「カラオケマン」の最新作とあって会員さんの期待も大きかったようです。最後のステージ、杜夫ちゃんノリノリでございました。ラスト近くでいつものようにポツリと喋る台詞「75歳になってやる芝居じゃないよ...命懸けだよ。」で大きな笑いと拍手で場内は最高の盛り上がり。その後に、今年発生した能登半島地震の被災地でのスライドが流れる中、語るように歌う杜夫ちゃんの姿に皆さん感動されていました。

終演後、軽くお疲れ会をやったのですが、ここでも杜夫ちゃん「これで終わるのは惜しいね...日毎に調子が上がっているのでこれから一カ月くらいはやりたいね。」と嬉しいことを言ってくれるじゃありませんか。笑いと拍手とラストの感動、芝居をやっている者にとっては贅沢すぎるほどの出し物だと思います。

今日一日だけの休みで明日からは又、12月から始まる二兎社公演の稽古が始まるそうです。いやいや今年も大劇場からテント芝居、そしてひとり芝居、まさしく芝居をやるために生まれてきたような御仁でございます。ただし長年の友人として、くれぐれも酒の飲みすぎだけは注意して頂戴ね!お互いに健全なる心身あってこその舞台ですから。

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横浜 桜木町駅前

2024/10/18
【第1952回】

昨日で風間杜夫ひとり芝居、本多劇場にての公演、無事終えることが出来ました。

おいらのもとにO氏からこんなハガキが劇場に速達で届いてました。

 

役者ひとり居れば演劇は成立するんだと痛感した。しかも怪しいバンコクの街が抽象的なセットの中に浮かび上がっていた。映像が無くても板の上にはバンコクが存在した。何故か匂いまでしてきて自分ひとりで笑ってしまった。荒唐無稽の話にみえて実は人間味のある温かさを持った実に心に染みる牛山明の真骨頂ものだった。工作員に間違われて磔にされるのはサービス精神そのもの。俵星玄蕃8分30秒やって欲しかったと観客は厚かましい願望を抱くこの芝居の見せ場だ。それにしても次から次へと歌が淀みなく出てくる。この芝居の小道具はまさに牛山明の繰り出す流行歌の数々で、それ以上のものは要らない。高齢者のスタッフが後期高齢者の主人公をよってたかって痛めつけて盛り立てて素敵な舞台に仕上げた1時間20分だった。観終わってふとまたバンコクに行きたくなった。夜の巷に足を向けたいなと思わせるお芝居に拍手喝采!

 

他にも多くの方からお褒めの言葉を頂きました。そして劇場を後にするお客様の「生きる勇気を頂きました...」「まだまだ生きてみようという気になりました...」などなど。劇場に足を運べば元気になりますよ!

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O氏からの速達便

2024/10/17
【第1951回】

昨日、本多劇場に懐かしい方が来てくれました。嘗てトムの芝居にも出演してくれた渡辺麻恵さんです。現在は2012年以降バングラデシュの路上で暮らす子どもたちを保護、教育するバングラデシュのNGOエクマットラで旦那様と活動しています。貧困層の人達の相談相手となり自立するための様々な活動をされています。そして女優さんをやっていた経験を活かし現地でのメディアに登場し、日本とバングラデシュの橋渡し役としても活躍。日本にいるときから名前同様、前向きで明るい性格で誰からでも愛されキャラだったんですが、久しぶりに逢った印象は立派な社会活動家のお顔でした。一度は女優を目指した麻恵さんが、いまだ政情不安定な国で夫、仲間と新しい国造りのために心魂を傾けてる姿に唯々頭が下がる思いです。

終演後、2007年明治座にて水谷龍二作・演出、風間杜夫主演の「うそつき弥次郎」に出演した経緯から、水谷、風間さんとのひさしぶりの再会に感慨もひとしおでありました。

人のために生きることがすなわち己のために生きる。このバランスの取り方が実は非常に至難の業ではなかろうか...自分らしく生きるということも含めて。麻恵さんのバングラデシュでの過ごし方からそんなことをふと考えてしまいました。

昨日も、多くのお客さんの温かい声援を全身に感じながら杜夫ちゃんラストまで命懸けで舞台を走り回っておりました。

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秋の夜、匂う金木犀

2024/10/15
【第1950回】

先週11日に、東京での初日を迎えた風間杜夫ひとり芝居「カラオケマン ミッション・インポッシブル~牛山明、バンコクに死す~」昨日で無事4ステージを終えることが出来ました。連日、客席は笑いと拍手の渦状態、ラストは今年の元旦に起きた能登大地震への鎮魂をこめての歌で締めくくっています。それにしても75歳になる風間杜夫の身体を張った演技に唯々驚嘆する日々でございます。こんな芝居ができる俳優さん、日本いや世界に居るんでしょうかね?27年に亘って継続していることだけでもギネスものだと思っています。

カーテンコールでの挨拶で「お客様の声援があっての芝居...」確かに、観客の反応が良ければ演者は勇気百倍、その波に乗っかり持てる力をパワーアップして客席に届けることが出来ます。

この混沌とした社会状況のもと、劇場に足を運んで来て頂いた皆様には、とにかく喜んでいただき明日への励みになるものを届けないとプロデューサーとしては失格です。

芝居は何でもありの世界ですが、出来うるならば笑いは不可欠かなとも思います。そんな展開の中きっちりとしてテーマを打ち出せれば...

30年間105本の創作劇を創ってきましたが、まだまだ道半ばでございます。一昨日の終演後のトークショーでも述べたんですが、この一人芝居、風間杜夫が演じたいという思いがある限り、おいらもくたばるわけにはいきませんね。

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いよいよ17日まで!

2024/10/11
【第1949回】

10月9日(水)文京シビックホールにて島田歌穂デビュー50周年記念コンサート「プレミアムシンフォニックコンサート」を鑑賞。先ずは50年間現役で続けてきた、来れたことがあっぱれですね。この世界の浮き沈みは半端じゃございません。華やかなデビューを飾ったものの数年で消えてしまう人が多数、生き延びてもなかなか仕事がなくアルバイト生活に逆戻りなんてことも当たり前...半世紀、現役で数々の賞を受賞し、大阪芸術大学の教授として後進の指導にあたるなど今尚エネルギッシュな姿には頭が下がる思いです。あの華奢な身体からの驚くほどの声量、情感、満員の観客は大満足だったと思います。

トム・プロジェクトでも来年、再来年と「モンテンルパ」の公演が控えています。劇中での歌穂さんの絶唱「モンテンルパの夜は更けて」が今から待ち遠しいです。

10月10日(火)は有楽町マリオン・アイマショウで「The Gentlemen's」を鑑賞。橋本さとし、石井一考、他3名の若手に交じって村井國夫さんが出演ということで出かけました。

現役で活動しているバリバリのミュージカル俳優たちのなかで村井さんの渋さは際立っていました。<ラマンチャの男><マイウエイ><レ・ミゼラブル>などなどバリトンの染みいる声に、ほとんど女性客で埋まったお客様うっとりしていました。それにしても若手の3人の歌と踊りはド迫力で見応えがありました。終演後、村井さんに聞いたら「今は、歌と踊りだけでは駄目で芝居もできなきゃ使いものにならない...」とおっしゃっていました。

いやいや、どの世界も生き残っていくにはまずは日々の努力、そして出逢い、そのうえでの運も絡んでくる実に厳しい世界でございます。

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秋の雲

2024/10/09
【第1948回】

今日は11月並みの気候、体調管理に一苦労する日々です。衆議院は今日解散するとのことですね...念願の総理に成れた石破さん、初々しい姿はいいんですが党内野党で言いたい放題だった様子から一変しましたね。分かりますが、ここは信念を貫いてほしかったと言いたいところです。しかし、この方結構したたかで策士かもしれませんよ...長年冷や飯を喰わせた輩にここぞとばかりに反撃の狼煙をあげているのかもしれません。短命で終わるのか新たな戦略で石破カラーに染め上げていくのか、いずれにしても選挙結果次第で政界の地図が大幅に変わるかもしれません。それにしても、裏金議員いまだ核心部分を隠したまま厚かましい顔で選挙に出馬するなんてことが許されんですから、やはりこの国の政治は異常と言わざるを得ません。選挙という国民一人一人に選択のチャンスがあるのですから、そこは良識ある判断で尊い一票を投じて欲しいですね。

ドジャース惜しくも負けちゃって崖っぷちに立ちました。それにしてもドジャースの先発投手陣のひ弱さが目立つ試合が続きます。いくらMVPトリオの揃い組といっても序盤に大量点奪われると苦しい展開になってしまいます。大谷選手の夢の世界一、なんだか怪しくなってきました。やはり彼が投手となってチームを牽引していかないと現状ではなかなか難しいかな?相手のパドレス、なんだかガラの悪いあんちゃんたちの集団みたいです。ベンチの中でひとりきりっとしたダルビッシュの顔が映るとほっと致します。

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北の香り

2024/10/07
【第1947回】

9月30日(月)午前2時に森康次氏が亡くなりました。71歳の誕生日を迎えたばかりでした。2022年12月にトム・プロジェクトを退社し病いを抱えながらのリハビリの日々でした。最後は病院で安らかに最期を迎えたそうです。

森ちゃんとの想い出はたくさんあるし、共に会社を支えあった戦友でもありました。おいらの友人が立ち上げた劇団GMGでの出会いが50年前になるかな...劇団では、制作をやりながら15年間劇団の中心的な働きをしていました。おいらがトム・プロジェクトを立ち上げるときに声を掛けました。どうなるか先行き不安の中、森ちゃんも夢に向かって共に突っ走ってくれました...彼の持ち味である愛されキャラで相手の懐に果敢に飛び込み、酒を飲みながらの営業は得意中の得意でした。酒と煙草は生涯の友でした。海外公演も積極的にアプローチしていました。ロシア、ヨーロッパ、アメリカ、アジアなどなど、彼にとっても想い出深い旅公演だったに違いありません。

10月4日の通夜、5日の葬儀にもたくさんの人達がお別れに来ていました。今にしては少し早い死だったかのしれませんが、十分に生ききった人生だったと思います。

本当にお疲れでした!あちらの世界でも貴方の愛されキャラは貴重ですよ。

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遺影

2024/10/04
【第1946回】

昨日は神奈川県平塚市にある、ひらしん平塚芸術ホールで風間杜夫ひとり芝居「カラオケマン~ミッション・インポッシブル~」2ステージ目の公演に行ってきました。まずビックリしたのはJR平塚駅のホームに降り立つと目の前に、あのポスターが飛び込んできました。これはなかなかインパクトがあります。映画かな?とも思わせますが、ひとり芝居と銘打ってますから大丈夫でしょう...駅から8分歩いたところにモダンなホールがありました。やはりあのポスターの宣伝は十分な効き目があったようです。会場は満員、苫小牧から5日の間があったのですが、お客様の熱気で杜夫ちゃんもノリノリで演じてました。カーテンコールで「こんな年で...」と挨拶した途端、客席から「若い!」という大きなかけ声がホール一杯に響き渡っていました。演じる者にとってはこれほど嬉しい後押しはないと思います。

おいらも平塚に降り立ったのは始めてでした。何処の街にもある風景ですけど、再開発した場所と昔ながらの飲み屋街が混然としていて味わいがある街でした。中でも今ではめっきり少なくなった昔懐かしいキャバレーがありました。昭和のキャバレーは、生の楽団の演奏をバックに馴染みのお客とホステスさんがしっとりとチークダンスを楽しみながらの古き懐かしい昭和の香りがしていました。お金欲しさの若い娘さん集めて商売してる平成以降のキャバクラなんかより良いんじゃないかしらと思ってしまいます。

10月というのにまだまだ暑い日が居残っています。生き物すべて調子狂ってしまいますね。

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平塚駅ホームから

2024/10/02
【第1945回】

昨日は、新宿・紀伊國屋サザンシアターで劇団民藝公演「ミツバチとさくら」を観劇。トムでもお馴染みの、ふたくちつよしさんの作で築50年以上の古い家で繰り広げられる夫を亡くした母親と4人の娘の間で繰り広げられるドラマです。今年5月、ふたくちさんのお母様が104歳で亡くなり、今回のドラマにも亡き母へのオマージュらしきシーンがありました。おいらも、まだご本人が元気だったころ劇場でお会いしましたが、それはそれは明るく元気でその場を一瞬にして解放区にさせてくれるパワフルな方でした。

そして、昨日のお客様のパワーにもビックリ!まさしく創立73年の歴史を感じました。おいらも上京してから、宇野重吉、滝沢修、米倉斉加年、北林谷栄、佐々木すみ江、奈良岡朋子さんが演じる芝居を随分と観させていただきました。宇野さんのカラーが、地味ながらもしっかりと日本の風土を大切にしながら庶民の哀歓を醸し出す劇団というイメージを持っていました。その良さをいつまでも共に感じていたいというシニアのお客様が、まるで遠足にでも来ている感じで芝居を楽しんでおられました。おいらの後ろのお客さん、開演前からお互いの近況を語り合い、開演してからもまるで子供のように小声であれやこれやとお喋りしながらの観劇でございました。勿論、芝居を観に来ているのですが、劇場が普段なかなか会えない知人、友人の社交場になっているような光景でした。

芝居というフィクション、そして実人生、これらがクロスする場でもあるシアター。大切で守っていかなきゃいけない場だと思います。

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初秋のひまわり