2024/11/18
【第1964回】
ようやく秋らしいというのか急に寒くなったりで、はや晩秋かなという週明け月曜日でございます。この季節は昔から読書の秋というフレーズが鉄板ですね。おいらもこのフレーズを裏切らないように乱読してますよ。山本周五郎から最近の若手気鋭の小説家が書いた不思議且つシュール物語まで、出来るだけ収納庫をしなやかに幅広く余裕を持たせながら過ごしたいという思いから日頃から心掛けている読書でございます。
その中で、昨日読み終えた吉本ばなな著「下町キック」、ほんわかな気持にさせてくれました。少し特殊な能力を持つ少女が主人公で、彼女たちを温かく緩やかに健やかに見守る下町の人々のお話。今世の中に氾濫している絆とか多様性をとかを堅苦しくとらえるのではなく、もっと余裕、余白のある関係性でもいいじゃないの?と清々しを感じさせてくれる作品。
他の全てが何もかも違っているのに、話が分かるその一点だけは完璧に共有している。これって未来のコミュニケーションではないだろうか、と私は思った。人はそれぞれ全く違う。それでも何か真ん中に大切にしていることがあり、それが同じ人たち同士はそんなコミュニケーションができるのではないだろうか。
このどうしようもない、戦争ばっかりしている人類にとって、もしかしたらこれは希望なのではないだろうか。
こんな文章を解かりやすくさらりと書ける作家と読書を通じて、暫し時を共に過ごせるのも幸せでございます。
定点観測
~今日の紅葉~