トムプロジェクト

2024/11/05
【第1959回】

11月2日(土)宮野ひろみ舞踊40周年記念公演「絆」を内幸町ホールで観てきました。きっかけは今年、高円寺でのグラシアス小林氏のフラメンコ公演の時、偶然に宮野さんと30年ぶりの再会。トム・プロジェクトがまだ芝居の制作を始める前、おいらがスペインの田舎に滞在中、日々アンダルシアの小さなバルで聞いたカンテの響きが鳴り止まず池袋の小さな映画館で「ドラマチックフラメンコ」と銘打ち若手フラメンコダンサーの公演を10本ばかり興行しました。その中の一人がまだ高校生だった宮野さんでした。若いだけではありません、表現に対する情熱と意志を強く感じました。

30年ぶりに彼女の踊りに圧倒されました。おいらも日本に帰ってきてからたまにフラメンコ公演を観てはいるんですが、どうしても本場のフラメンコを目にしているだけに、何故日本人がフラメンコを踊らなければいけないのか?異国の文化に対峙する表現者にとっては、やはり己のしっかりした生き方が伴っていないとなかなか難しいものがあると思います。

この日、彼女がタイトルにした「絆」の意味が踊りを通して明確に伝わってきました。人として体験した孤独や葛藤、愛する人との出会い別れ、家族、そして何よりも踊りを通して人のために何ができるかという謙虚な佇まい...舞台に立ち観客に何が届けられるか?

この日、宮野ひろみさんが30年間、様々な困難を乗り越えながらも凛として舞台に立つ姿を観客の一人として拝見できた貴重な時間でした。 

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生きることは踊ること
踊ることは生きること

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