2024/11/08
【第1960回】
劇団俳優座公演「慟哭のリア」を俳優座劇場で観劇。あのシェークスピアの「リア王」を劇団桟敷童子の東憲司さんが大胆に翻案、演出。物語の設定を東さんの故郷でもある筑豊炭田にするあたりはさすが東憲司。桟敷童子の芝居をそのまま俳優座に持ってきた感があるにもかかわらず、80年の歴史を持つ座員を見事なタクトで活かしている。なかでも御年92歳になる岩崎加根子さんの演技に対して、リスペクトも含めてかなり繊細に演出したであろう工夫が随所に見られた。それにしても92歳で舞台に立つ勇気と気概にはあっぱれでございます。同じ俳優座出身の仲代達矢さん然り、戦前から戦後まもなく日本の演劇シーンをリードしてきた矜持が脈々と受け継がれている気がしてならない。
来年4月に取り壊される六本木の俳優座劇場、なんとも残念でなりません。上京した時に千田是也、東野英治郎、小沢栄太郎、東山千栄子、そして若手の仲代達矢、平幹二郎、市原悦子、栗原小巻などなど綺羅星の如く輝いていた人たちをワクワクした感情で観た記憶が今でも鮮明です。渋いところでは中谷一郎、杉山とく子さんなんかが絶品でした。
昭和がだんだん遠くなる...時代の移り変わりがあまりにも早く、後期高齢者はとてもついて行けません。懐かしがってばかりでは進歩もありませんし、なんでんかんでんとりあえず吸収しようとは思ってはいるんですが、やはり限界はあります。まあマイペースで基本的に心身ともに負担にならないように楽しい日々を過ごすに限りますね。
昼下がりの公園