2025/02/26
【第2003回】
いやはや最初に観て、すっかり主演女優のジュリー・クリスティのファンになっちまったあの名作「ドクトル・ジバゴ」60年振りに再会。映画が娯楽の王者であった時代に相応しい全編3時間半の大作である。監督は「アラビアのロレンス」「戦場に架ける橋」でメガホンをとったデヴィッド・リーン。原作は1958年にノーベル文学賞を受賞したロシアのポリス・パステルナーク。この作品は第一次世界大戦とロシア革命という動乱の時代を背景に二人の女性を愛する医師ジバゴを軸に展開していく。広大なロシアが舞台であるだけに人員、美術、セット、そしてロシアの自然。当時は勿論VFXやCGなんかは皆無、人海戦術でシーンを創りあげた感動がスクリーンからビシバシ伝わってくる。18歳のおいらが映画に夢中になり、こりゃ東京に行かんと話にならんですばい!と背中を押してくれた作品のひとつでもある。それにしてもジュリー・クリスティ、罪深い女です。ジェラルディン・チャップリン(あのチャップリンの娘さんである)演じる奥様がいながらも、確かについつい惹かれていく魅力、こんな女性に出逢ったら最後、間違いなく人生狂わせること間違い無し。
若き日のアレック・ギネス、そして怪優ロッド・スタイガーの存在もさすがである。彼の「質屋」「夕陽のギャングたち」の演技は今尚おいらの記憶に深く刻まれている。
映画と言えばもう一つの主役であるメインテーマ。この作品を担当した名匠モーリス・ジャールによる「ララのテーマ」が良いタイミングで流れてくるので涙がチョチョ切れますばい。
勿論、主演男優オマー・シャリフのいつも潤んだ瞳で苦悩する姿がこの作品を支えている。
やっぱり映画は人生の師でございます。
新宿西口の夕暮れ