トムプロジェクト

2025/09/22
【第2087回】

先週の週末は世田谷パブリックシアターで唐十郎作、金守珍演出「愛の乞食」「アリババ」の二本立てを観劇。この芝居の主人公を演じるのが安田章大(旧関ジャニ∞)ということでいつもの演劇観客層と違って、若い女性層を中心としたリピーター客が多数駆けつけていました。あの難解な唐戯曲をどのように観ているのか興味がありますね。そこは唐十郎に師事していた金守珍がケレン味たっぷりにエンタメに仕上げているので飽きさせない構成になっていました。亡くなった蜷川幸雄も唐さんの作品を見事なまでに見世物興行として長年公演していました。演劇史上世界的にも類を見ない唐十郎の世界に手を変え品を変え挑戦してきた演劇人に拍手を送ると同時に、どうしても辿り着けない特権的肉体論(訓練された普遍的な肉体としてではなく、各役者の個性的な肉体が舞台上で特権的に「語りだす」ことを目指した演劇論)に回帰してしまう自分がいます。

今回「アリババ」に風間杜夫が出演していました。2021年、72歳に新宿梁山泊でのテント芝居に初出演してから唐戯曲4度目の舞台。今回の出演者の中でも最年長者、8歳の時に児童劇団に入団し子役として活躍してから途中辞めた期間も入れて68年の芸歴。そりゃ人間として芸人として個性的な匂いはプンプンしますがな...奇妙奇天烈なヘアースタイルで舞台上を闊歩する杜夫ちゃんの芝居に、昨年亡くなった唐さんもなんとなくニンマリしてたような気がしました。

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ようやく秋の気配

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