トムプロジェクト

2025/11/17
【第2109回】

先週土曜日は久しぶりのダブルでの観劇。後期高齢者にとってはかなりハードルが高い一日になりました。昼の公演は新宿紀伊國屋ホールにてワタナベエンターテインメント「TooYoung」、劇団チョコレートケーキの古川健作、日澤雄介演出による若手公演でした。

新宿・歌舞伎町の一角にたむろする俗に言うトー横を題材にした作品。今話題のクリエーターと今後活躍を期待されている役者を組み合わせたプロジェクト、群雄割拠の演劇界ではいろんな企画で挑戦しないとなかなか生き残れない状況であることは間違いありません。芝居の中身の充実は勿論のこと、役者も人気商売、ファンあってのことなので、この両者を両立するために制作側も苦心惨憺しているところでございます。

夜は、かわいいコンビニ店員さん企画による「位置について」を吉祥寺シアターで観劇。制作側のネーミングがタイトルみたいな、これも意表をついたゲリラ風な作戦かな?モンスターペアレント、賃金、労働形態、保育士不足などなどいろんな問題を抱えながらも、屈託のない明るさと笑いで働き続ける都内にある認可保育園を舞台にした芝居。

出演者の皆さん皆達者な演技で、2時間10分笑いが絶えない舞台でした。今回の芝居に出演したトム・プロジェクト所属の佐々木優樹君のユニークな表現が秀逸でした。まだまだ若い佐々木君、これから更なる進化を予感させる存在感でした。

日曜日は善福寺緑地公園を散策。気候変動の煽りを受けながらも不動の樹木はいつものように色とりどりの紅葉がおいらの目を楽しませてくれました。

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紅葉狩り

2025/11/14
【第2108回】

トム・プロジェクトを共に走って来た森康次が亡くなって1年になります。今でも、あちらこちらで森ちゃんのおもろい逸話が語られています。お酒が入るといじられ役としての役者振りもなかなかのものでした。一昨日、森ちゃんの奥様である森ひとみさんの芝居を観てきました。劇団菊池第16回公演「いにしえの風に たゆたうと風りん」。ひとみさんは劇団GMGで森ちゃんと出会いました。劇団では看板女優として長い間活躍し、結婚を機に一時女優業を休んでいましたが息子さんが成長するにつれ復活。この日の芝居も、急遽依頼され出演したのですが、台詞、表情、しっかりとした表現で芝居を盛り上げていました。森ちゃんも喜んでいるのでは...ここまで来たら好きなことを徹底的にやり尽くすしかないでしょう。

芝居を観た後、千歳烏山に足を伸ばし久しぶりにジャズ喫茶「RAGTIME」を訪問。

1978年にオープンした老舗の店。古びたビルの3階まで上がる急階段に先ずは一苦労、店内は47年の歴史を感じる佇まい。煙草のヤニで変色したビルエバンス来日時のポスターが天井になんとかしぶとく貼り付いている。3000枚の年季の入ったレコードとオレンジ色ベースの温かい照明に包まれた木造りの店内がなかなかのもんですね。この日、なんと浅川マキのレコードが流れてきた。1971年大みそかに新宿紀伊國屋ホールでのライブ盤、いやいや懐かしいな...彼女の亡くなる前年、2009年年末に新宿ピットインでのライブ姿を今でも鮮明に覚えている。1970年前後、当時の新宿文化を象徴するアングラシンガーの女王的な存在でした。こんなレコード聴いていたら、またまた昭和が甦る。

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昭和の匂い

2025/11/12
【第2107回】

二宮さよこ一人芝居「大奥 絵島」観劇。二宮さんと言えば随分昔、文学座で「ふるあめりかに袖はぬらさじ」「牡丹灯籠」を拝見しました。杉村春子さんがとっても可愛がっていて将来の文学座を担う華のある女優さんでした。その後、退団し映像にも進出「吉原炎上」「陽暉楼」では妖艶な演技で他を圧倒していました。しばらく目にすることがなかったのですが、ご自身で一人芝居を何本も上演されていたんですね。今回の芝居は江戸時代に起きた絵島騒動を題材に、江戸城大奥と山村座の二枚目役者とのスキャンダルを描いたものでした。

さすがに老舗文学座での役者修業、77歳を感じさせない声量、そして改めて日本語の美しさを繊細かつ大胆な表現で演じられていました。佇まい所作と共に、魅力的な容貌が和装にぴったりとはまり舞台での存在感は十分のものがありました。

そして昨日、仲代達矢さんの訃報が流れました。若い頃に観た小林正樹監督の大作「人間の條件」での仲代さんの演技を観て、役者という職業におおいにそそられました。こうやって今に至るまでこの仕事を続けているのも、この作品の仲代さんのせいかもしれませんね。

同じく小林監督の「切腹」も仲代さんの魅力を感じられる作品だと思います。

こんな知らせを聞く度に、あらためて昭和がどんどん遠くなる...昭和の良さを噛みしめながらなんとか健康な日々を過ごせればもうけもんかな。

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この季節にお似合いな蝶

2025/11/10
【第2106回】

昨日は、バングラデシュでストリートチルドレンの自立支援に取り組む教育NGO・エクマットラを夫と運営している渡辺麻恵さんと共に初来日したバングラデシュ3人の若者、そして現地で音楽活動をしている水谷さんと新宿ゴールデン街に繰り出しました。3人の若者はDigiCon6ASIAというアニメのコンテストのASIAアワード候補にバングラデシュの作品が選ばれ、その代表として主催者から招待をいただき、日本の受賞式に参加。大好きな日本、しかもテレビで観た新宿ゴールデン街は是非行ってみたいということで、新宿見回り隊の一人として案内人を引き受けた次第です。バングラデシュの若者、皆キラキラ輝いていました。自分の夢に向かって歩む姿はおいらも刺激を受けました。そしてこんな若者たちを支援している麻恵さんの優しさに改めて感心した次第です。2012年にダッカに移り住み13年、言葉に言い尽くせない様々な苦労があったと思います。勿論、旦那様の弱者の立場にたっての行動、姿に賛同したことがきっかけだと思いますが、なかなか踏み切れるものではないと思います。昨日ご一緒したサラさん、シハンさん、モタブレさん、そして水谷さん、まだまだ建国54年の若い国で暗中模索の日々であるとは思いますがなんとか夢に向かって驀進して欲しい!

新宿紀国書店で購入した宮崎駿「君たちはどう生きるか」監督手描きの絵コンテ本を手にした幸せそうなサラさんの表情がとても印象的でした。

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バングラ五人衆

2025/11/06
【第2105回】

なんとなく秋めいた日が来たと思ったら、今日はどんよりと曇った一日になりそうです。昨日のスーパームーンも見ることが出来ませんでした。この気候変動、今後目まぐるしく世界を混乱させるに違いありませんね。アメリカでは反トランプの市長、知事が生まれ、まるで振り子のように従来の方向に戻りつつあるが、これもあのトランプの行動を見ていれば全く予測不可能。原爆の実験をやるなんてこと平気で言っちゃう頭の中の人ですからね。

2022年に95歳で亡くなった森崎和江さんの評伝を読了。作家の森崎さんは植民地朝鮮で生まれ、日本という国の原罪を生涯にわたって見つめ続けた人生でした。敗戦の時8歳の彼女は既存の思想や概念に疑問を抱き一切を捨て、近代資本主義におかされていない本当の日本を探す旅に出かけました。日本の中央からもっとも遠い場所に赴き、近代がもたらした分断、断層を自ら体験し、日本とアジア、中央と地方、男と女などなど、たった一人まさしく徒手空拳でたくさんの本を生み出しました。地の底で生きる炭鉱労働者、戦時中アジアの占領地に売られていった、からゆきさん。その視点は百年サイクルの近代を超え、千年サイクルでの命のサイクルで思考し行動した生涯だったと思います。

この世に奇跡的に生を受けた一人として、ひとつでも後世になにかを残せねばと思う日々でございます。

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再開発進む新宿西口

2025/11/04
【第2104回】

今日はこれに触れるのは当然でしょうね。何処を見てもドジャースのニュースで大騒ぎ、おいらも長年の野球小僧ですが、今回のワールドシリーズほど手に汗を握る展開は凄まじいものがありました。延長18回に始まり、崖っぷちからの連勝、その勝ち方が奇跡に近い展開、どうみてもブルージェイズが勝利していてもおかしくない内容。勝利の女神が細部にわたり確実にドジャースのほうに微笑んでいたとしか思えない。特に第6戦、3対1でドジャースが2点リードで迎えた9回無死1塁で迎えたブルージェイズの攻撃、リリーフした佐々木の高めの速球を捉えたバーガーの打球が外野フェンスと地面の隙間にスッポリ挟まり止まってしまう始末。本来であれば2者がかえり同点になるはずがランナーは戻され、しかもそのあと又もやラッキーなダブルプレーが完成し危機を脱し勝利する結末。そして最終戦、あと2人でブルージェイズ32年ぶりのワールドシリーズ制覇というところで、ここまでさっぱりだったロハスが同点ホームラン。延長でスミスが勝ち越しのホームラン、そして最後は神がかり的な山本投手でゲームセット。なんですかこれは?観てるほうの心臓はパクパク状態、今でも勝利したことが信じられない奇跡のドジャースの連覇で終わりました。

そして想い出すのは、昭和33年の西鉄ライオンズと読売ジャイアンツの日本シリーズ。3連敗したライオンズが4連勝し日本シリーズ3連覇を果たした試合。この試合ライオンズの稲尾和久投手、なんと勝利のすべての4勝、まさしく神様、仏様、稲尾様の大活躍でした。

やっぱり野球は面白いスポーツであることを証明した今回のワールドシリーズ、今から来年の開幕が待ち遠しいですね。

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今日の紅葉