トムプロジェクト

2025/11/12
【第2107回】

二宮さよこ一人芝居「大奥 絵島」観劇。二宮さんと言えば随分昔、文学座で「ふるあめりかに袖はぬらさじ」「牡丹灯籠」を拝見しました。杉村春子さんがとっても可愛がっていて将来の文学座を担う華のある女優さんでした。その後、退団し映像にも進出「吉原炎上」「陽暉楼」では妖艶な演技で他を圧倒していました。しばらく目にすることがなかったのですが、ご自身で一人芝居を何本も上演されていたんですね。今回の芝居は江戸時代に起きた絵島騒動を題材に、江戸城大奥と山村座の二枚目役者とのスキャンダルを描いたものでした。

さすがに老舗文学座での役者修業、77歳を感じさせない声量、そして改めて日本語の美しさを繊細かつ大胆な表現で演じられていました。佇まい所作と共に、魅力的な容貌が和装にぴったりとはまり舞台での存在感は十分のものがありました。

そして昨日、仲代達矢さんの訃報が流れました。若い頃に観た小林正樹監督の大作「人間の條件」での仲代さんの演技を観て、役者という職業におおいにそそられました。こうやって今に至るまでこの仕事を続けているのも、この作品の仲代さんのせいかもしれませんね。

同じく小林監督の「切腹」も仲代さんの魅力を感じられる作品だと思います。

こんな知らせを聞く度に、あらためて昭和がどんどん遠くなる...昭和の良さを噛みしめながらなんとか健康な日々を過ごせればもうけもんかな。

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この季節にお似合いな蝶

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