トムプロジェクト

2026/01/21
【第2133回】

今年一番の寒波が日本列島を襲来。現在「風を打つ」中国地方を巡演中ですが何とか無事に上演できればと...明日から鳥取、島根と続きますので心配です。

いやはや昨今の世界状況、なんだか第三次世界大戦前夜みたいな様相を呈しています。そんな時代に警鐘を鳴らすかのように、今年87歳になるゴスペルシンガー、メイヴィス・ステイプルズの最新アルバム「SAD AND BEAUTIFUL WORLD」を購入。彼女は11歳で父が率いるゴスペルグループに参加して76年になる大御所である。今も尚、偉ぶらず、驕らず、自然体で歌い続けている。日々を大切に過ごし、その天賦の才能は勿論のこと、人間としてありきたりな表現などはばかれるほどの圧倒的な存在感を放っている。世界から戦争をなくすには、まず自分自身が平穏で、いつも喜んでいなければと歌う「ウィ・ガット・トゥ・ハブ・ピース」。アルバムの最後を飾る「エブリバディ・ニーズ・ラブ」ではスライドギターが淡々と響く中、メイビスはシンプルに語りかけるように繰り返す。

「ときにわたしは沈んでしまう。ときにわたしは怒ってしまう。日々はあまりにも早く過ぎ去ってしまう。世界は悲しく、それでも、世界は美しい」

彼女の生きてきた体験から発する深く、静かな歌声が聴く人の心に染み渡る。この世界になんの期待を持てなくなっても、世界のほうからまだまだあなたに期待してますよと語りかけてくるようだ。

どんな苦難を強いられようと、世界の表現者はアートを武器に平和への希求への願いを諦めないことを立証するベストアルバムだ。

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寒空

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