トムプロジェクト

2026/06/19
【第2195回】

青柳碧人著「乱歩と千畝」読了。久しぶりに一気読みした一冊でした。江戸川乱歩と杉原千畝が若い頃に出会って、お互いに成すべきことをやっていく中に激動の時代背景と歴史上の人物が登場する展開が面白い。江戸川乱歩と杉原千畝、怪奇探偵小説家とユダヤ人救済に尽力した外交官。実際には交流の無かった二人に、もしも交流があったら、というフィクション展開の中で、あとはそれぞれの物語が史実に基づいて描かれている。話の中で程よいタイミングで古関裕而、広田弘毅、川島芳子、松岡洋右、山田風太郎、松本清張、美空ひばりなどなどが登場し彩りを添えてくれました。この作家、なかなかのいい意味での食わせ物じゃないかしら?ミステリー・探偵小説・歴史小説これらが三位一体となりファンタジーの世界に巻き込んでいき最後は感動させるなんていう筆力はただモノではございません。

この混迷の時代こそ、作家は想像力を駆使していろんな形での物語を紡ぎだすことができる可能性を感じさせた作品でした。直木賞候補になったのですが、残念ながらこの年は受賞者なし。選考者の質も低下しているのではないかと思うのだが、ただ一人、選考委員の辻村深月さんが「歴史の世界でここまで奔放に遊んでよいのだと、私も実作者の一人として勇気と活力をもらった。同じように、きっとこの本を読んだ若い世代から、こんな自由な発想で歴史や小説を描きたいと思う人が出てくるのではないか。」唯一、この方だけがハナマルでした。まあ、すべからく好みは人それぞれですから...江戸川乱歩「うつし世はゆめ 夜の夢こそまこと」...この本のテーマかな。

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頭と頭がごっつんこ

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