トムプロジェクト

2026/05/29
【第2186回】

昨日は劇団桟敷童子「亀と潜水艦」を観劇。終戦時、朝鮮半島、満州から引揚げて来た人達の物語である。異国の戦場で犯した罪に怯える者、帰国しても帰る場所がない男たち、異人の子を宿し祖国を前にして命を絶つ女たち。昭和20年11月に設置された博多引揚げ援護局は140万近くの引揚げ者を受け入れ様々な救済活動を行った。なかでも引揚げ時、暴力により妊娠してしまった女性を救うために、旧陸軍病院施設で秘密裏に中絶手術を行った。何の罪もない胎児たちの数は400とも500とも言われている。

そんな史実に基づいて、劇団桟敷童子の皆さんが総力戦で、闇に葬られかねない歴史を風化させまいと身体をはって演じてくれた。

今回の芝居を観ながら何故かおいらの遠い記憶が蘇る。おいらの家族も朝鮮半島からの引き揚げ者である。父と母と兄が1945年8月9日を境に、ソ連(現ロシア)の侵攻により逃避行が始まるのである。そのときおいらは母の胎内で命を育んでいたのである。その苦難の逃避行は亡き母が何度も話して聞かせてくれた。考えてみれば、異国の地に大東亜共栄圏建設の名のもとに異国に侵攻した日本国に対する逆襲ともいえるのだが...多くの人達が逃避行中に命を失った中、おいらの家族は奇跡的に博多港に辿り着いたのである。まさしく今回の舞台の場所、母の胎内でおいらはどんな思いを抱いていたであろうかと想像してしまった。もしや、この劇中にも登場する堕胎施設に送られていたならばこの世に存在しなかったなんてことも考えながら...

そしてこんな悲劇が、今もなお世界の紛争地で起こっていることに唯々呆れるばかりです。

奇跡的にこの世に生を授かった身として、命ある限り戦争反対を連呼したいと思っています。

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すみだパークシアター倉からの眺め

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