トムプロジェクト

2026/08/26
【第2222回】

一昨日、「沼の中の淑女たち」無事に東京公演を終えることが出来ました。連日の超満員で役者さんたちもテンション上がりっぱなし、それにつられてお客様も笑いの連鎖、そして思わぬ展開、1時間40分があっという間に過ぎて、楽しそうなエンディング。初めて芝居を観る方もなんだか芝居の沼にハマりそうな6日間でした。

今回の公演中に、トムの芝居にも何度も出演していただいた斉藤とも子さんから一冊の本が贈られてきました。タイトルは「十六歳 父が残した命の手紙」、とも子さんのお父様が十六歳の時に、敗戦で逃げ惑う朝鮮半島での十か月近い避難生活を過ごした手記をもとにした話です。昭和二十年八月十日、ソ連軍の侵攻以降、学友や教師たちと命からがら逃げるさなかに出会った人たちとの交流、そして湧き上がる思いをポケットに忍ばせた手帳に記録したそうです。なかでも、嘗て朝鮮半島に侵攻し多くの朝鮮民族に酷いことをしたにもかかわらず、乞食同然の境遇であった避難民を自宅に招き優しくもてなした方のエピソードは胸迫るものがありました。そして彼はこう言った「君は、今は乞食となって恥を忍んでも、自己の生命を持続し、内地に帰って日本の再建に尽くそう、というような熱意を心のうちに持っているかね」と...昭和二十一年五月末に奇跡の帰国を果たした斎藤三郎さんは、患者さんの良き理解者であった医師として八十五才の人生を全うされました。

とも子さんは女優をやりながら、原爆被爆者との交流を通じて平和運動に並々ならぬ活動をされています。きっとお父様のこの貴重な体験があったからこその生き方ではないかと思います。

おいらも実は、引き揚げる母のお腹に命を宿していました。生前、母が語る壮絶な引き揚げ体験、昭和二十一年二月、博多に奇跡的に引き揚げ命を授かりました。母は口酸っぱく何度も口にしてました。「戦争は勝っても負けても悲惨...この世で絶対やってはいけないのが戦争」なのにいまだ止まない戦争、人間はどこまで愚かな生き物なんでしょうかね...

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この夏、最後のひと鳴き

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