トムプロジェクト

2026/01/09
【第2128回】

新しい年になって日々寒さが本格的なってきました。しかしながらウクライナがロシアの激しい攻撃により、南東部2州で電力供給がほぼ完全に停止したというニュースを聞くにつけ寒さに震えているウクライナの庶民のことを思うとなんのこれしきりと思ってしまいます。今年も新年早々、理不尽極まりないことが世界のあちこちで立て続けに発生しておりいつもながら人間の愚かさばかりが幅をきかせウンザリしています。

7日の日は七草がゆを食べました。セリ・ナズナ・ゴギョウ・ハコベラ・ホトケノザ・スズナ・スズシロ、このリズムカルな韻律を一気に連呼するだけで春の匂いを感じる。

「つゝましく箸置く七草粥の朝」この句からもいかにも新しい年の静謐な情景が目に浮かびます。この国の持つ嗜み、文化、本当に美しいものがたくさんあります。敗戦後、西欧文化が進出し、それに拍車をかけるように世界を覆いつくしたデジタル化の波、日本古来の繊細な美意識や自然を尊ぶ心が希薄になっている昨今、おいらは何とか昭和の時代を経験したことに感謝しています。何も想い出に耽り、過去に対する郷愁からの思いで語っているのではございません。若い頃、世界を放浪した体験からも日本文化の美意識を再認識した次第です。そんな国が、もしや他国の属国になってしまうかもしれないなんて事態が正夢になるなんてことが...現世は一寸先が闇でございます。

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夕暮れ時

2026/01/07
【第2127回】

今年の一発目の鑑賞はフラメンコ。高円寺にあるタブラオ・エスペランサに5日行ってきました。本場スペインに次いでフラメンコ人口が世界で2番目という日本。成程、青森のねぶた、徳島の阿波踊りに通じるものがありますね。大地にたたきつけるサパテオ(足を踏み鳴らすこと)、天空に向かって感情をより豊かに伝えるための手の動き。日本古来の土着的なお祭りとフラメンコが赤い糸で繋がっている感じがします。この日も、5人の踊り手とスペイン人の歌とギターで満員の会場は盛り上がっていました。今年77歳になるグラシアス小林さんも齢を感じさせないパワーに円熟味を加味した舞で存在感を魅せていました。

昨日は1月9日からスタートする「風を打つ」の最終稽古。今回は演劇鑑賞会、中国ブロック、関越ブロックでの23ステージ。2019年の初演からはや7年、こうやって一つの公演が長く上演されることこそ演劇に関わって良かったと実感する喜びと感謝そのものです。作品に命があるということを実証してくれています。昨日の最終稽古でも役者さんが楽しく活き活きと演じる姿を見るたびに、この芝居に登場する人物に慈愛が芽生え、より厚みのある像にしようとする意志を感じました。この芝居は水俣病という重いテーマだけに、どう展開していくかがポイントになると思っていました。昨日の稽古を見る限り、今回登場する家族が水俣病という病をバネにして、人として家族の一員としてよりポジティブに移行する様に人間が本来持っている命の輝きを痛切に思い知らされた次第です。

鑑賞会の皆様も、新しい年に相応しい満足して頂ける作品に仕上がっていますので楽しみにしていてくださいね。

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新春のスカイツリー

2026/01/05
【第2126回】

明けましておめでとうございます。

トムも今日が仕事始めです。正月休みは近場の温泉に浸かったり、高校、大学のラグビーをテレビ観戦したりと、のんびりゆっくりと過ごしていました。

今年こそは、世界が平和で心豊かでありますようにと願いも空しくトランプがやってしまいました。「力による平和」なんて言葉をいとも簡単に述べる彼の感性は弱肉強食を掲げる帝国主義者の貌そのものです。こんな人がノーベル平和賞を欲しがっていることもちゃんちゃらおかしくて笑い話にもなりません。この一件において彼がロシアのウクライナ侵略、台湾有事に関することに異を唱えることに正当性を持てなくなったことも事実です。

独裁者が世界を支配し、己の欲望に赴くままに進行すれば間違いなく第三次世界大戦に歩を進めることが現実になるに違いありません。

さて、この期に及んで日本はどうすれば良いのか?難しい判断が迫られていると思います。トランプと一体化すれば危険な未来が見えているし、自国の軍隊を強化しても所詮、中国、ロシア、北朝鮮には足元にも及ばないだろうし...とすれば、唯一の被爆国であることを世界にアピールし平和外交に全力投球する以外にないと思います。

今年もひとりひとりが、いま何を思考しどんな行動をするのか真摯な日々を送らねば取り返しのつかない結末が待っている...

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初詣・大宮八幡宮

2025/12/26
【第2125回】

トム・プロジェクトは今日が仕事納めです。今年は戦後80年ということで、混迷する世界の情勢になんとか歯止めをしたい!と平和を願う思いから「おばぁとラッパのサンマ裁判」「モンテンルパ」「鬼灯町鬼灯通り三丁目」「五十億の中でただ一人」を上演しました。

お陰様で、いずれも感染病、そして事故もなく全公演を終えることが出来ました。スタッフ、キャスト、制作陣の並々ならぬ精進の賜物だと思っています。勿論、どの公演にも駆けつけて頂いたお客様があっての一年でした。

今年も世界中、そして日本でもいろんなことがありました。決して良い方向に向かっているとは思えませんし、どちらかというと光明を見いだせないという状況だと思います。ここまで来れば、政治家も含め第三者に何かを託すなんてことで物事を打開できないに違いありません。だとすれば、この世に生きている一人一人が、もう一度原点に立ち返って思考し行動するしかありません。SNSの情報に一喜一憂して危険な流れに飲み込まれないように、自ら想像力を駆使し新しい思想を生み出して欲しいと思っています。

そのためには、読書の時間も必要だし、人とのコミュニケーション、アートに触れる機会、などなどアクティブな日常を過ごす必要があると思います。

来年こそ、世界各地で今尚戦渦に晒されている地域での紛争が治まりますように!そして日本でも人災、天災も含めて少しでも穏やかな日々でありますように!

トムの仕事始めは1月5日です。皆様良い新年をお迎えくださいね。

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今日の空

2025/12/24
【第2124回】

スペインの鬼才ペドロ・アルモドバル監督の最新作「ザ・ルーム・ネクストドア」を鑑賞。

病に侵され安楽死を望む女性と彼女に寄り添う親友の最期の数日間を描く物語。普通に考えれば、重く痛切なテーマなので画面も沈んだシーンの連続なのかと思いきや、そこはさすがアルモドバル、登場人物の衣装はカラフルだし、ワイヤレスイヤホンとハンズフリーというラフな格好で通話をする姿など、随所に監督ならではのセンスとユーモアがちりばめられていました。「死を恐れるのではなく、それを受け入れることが、精神の成熟につながる」というメッセージが、静かに、しかも力強く響いてくる。
ペドロ・アルモドバルは、75歳にして、かつての異色な作風を脱し、静かに、深く、人生の終焉と向き合う境地にたどり着いたのかな?「死と向き合うことは、生を統合すること」という監督の深い精神性と成熟した知性に触れられる作品であることには違いない。がしかし、「神経衰弱ぎりぎりの女たち」「トーク・トゥ・ハー」「ボルベール(帰郷)」で魅せた人間の本性を天然色に染め上げたエネルーギー溢れる作品も、まだまだ観たいもんでございます。

今日はクリスマスイブ。東京は冷たい雨が降り温度も上がらず最高温度が9℃、こんな日に限って京王線で人身事故。寒いホームで40分ばかり電車を待っていました。多くの人達が不満の声をあげることなく淡々と待っている姿に日本人の生真面目さを痛感した次第です。

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師走の新宿西口

2025/12/22
【第2123回】

先週の週末は、トム立ち上げと同時に開設したトム・アクターズスタジオの面々と一杯やりました。出逢ったときには20代だった若者もおっさんになっとりました。そりゃそうだよね、30年の月日を経過しているんですから...超売れっ子俳優になった者から、地道に役者稼業を継続している者、足を洗い普通に働き育児に励んでいる者などそれぞれの道を歩んでいます。役者修業に足を踏み入れること自体が人生の大博打だと思いますが、一度きりの人生やりたいことはやってみなければ悔いを残します。アルバイトしながら表現とはなんぞや?正解のない対象にむやみにぶち当たっていく経験は決して無駄ではないと思います。

勿論、おいらだって20代の青春は芝居塗れ、バイトにも精を出し、怒濤の日々でございました。ゆっくりと睡眠した記憶はございませんし、唯々芝居創りにしか興味なかったのかな?そんな時間、経験があってこその今の自分だと思っています。

その当時の仲間も、ここ最近までに5人が亡くなりやはり時の経過を痛感する今日この頃ですが、3人ばかりは現役で芝居に関わっています。彼らには老骨むち打ってまでしながらも表現に拘る何かがあるんでしょう。まさしくどれだけこなしても正解がないんですから...ひとつのことをコツコツとやり遂げていく人たちの共通点は、決して流行に左右されることなく自分の哲学を持っていることです。

ここまで来たら、命果てるまで少々馬力はなくなったとは思いますがアクセル踏み続け心地よい時間を過ごすに限りますね。

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師走の空

2025/12/19
【第2122回】

今年も残すところ13日となりました。歳末の風景様々でございます。中国政府の日本への旅行を控えるようにと警告しても相変わらず街中にはリッチな中国の人達を見かけます。駅の待合室の中で人目も憚らず大声での携帯電話。異国に来てその国の良き風習に触れ学ぶ人も居るかと思えば、好き勝手に振る舞う輩もいます。旅人のマナーでその国の文化の程度が露呈しちゃいますので周囲の気配を感じながら行動したいものですね。

一方、東京の電車の中での光景、満員電車の中に80歳過ぎのご婦人が疲れ切った様子で優先席の前に立っていながらも、携帯に夢中になった振り、来た途端居眠りを装う若者、こんな若者を見る度に、この国の未来に悲観を感じざるを得ません。「おんどりゃ、なに考えとるんじゃ!」一発かましたいところですが、なにせこのご時世、ブスリと刺され命を落としてしまったら一巻の終わりでございます。後期高齢者であっても命ある限り、何とかこの国のために少しでもお役に立ちたいとは一応思っているもんですから...

今日の朝のニュースで政府関係者が「日本も核を持たなきゃ!」なんて発言したことを流していました。まさかとは思いますが、何だかじわじわとあの大戦前の状況が形成されつつあるということも事実です。先日も飲み屋で24歳の若者が公然と軍拡大賛成の話をしていることを耳にしました。己が銃を持って戦地に赴き敵陣と相対し殺戮を実行する光景を想像しての発言か否か?本も読まないスマホ命の輩の頭の中、本当に心配でございます。

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師走の風景

2025/12/17
【第2121回】

昨日から、来年の初頭に上演する「風を打つ」の稽古が始まりました。この芝居の初演は2019年、その後全国公演含めて86ステージを重ねてきました。それだけ観たいという方々が居て、この時代に必要な作品であったのだと思っています。それにしても、ふたくちつよし作品の需要の多さは群を抜いてます。彼の作品の底辺に流れているのは平和への願い、環境に対する厳しい視線、家族の在り方、これらのテーマを教条的に描くのではなく普遍的に捉えてる点だと思います。実は、平易な言葉で紡いでいく台詞の展開こそが手間暇がかかり時間を要するものです。そして台本が出来ても、そこに血肉を加え情感を込める役者のチカラがなければクオリティーの高い作品にはなり得ません。勿論、舞台美術、照明、音響、演出部の強力な後押しも必要となってきます。

今回の芝居のテーマにもなっている水俣病、来年の5月1日で、病が認定されて70年になります。12月2日に映画「MINAMATA―ミナマター」で水俣病の悲劇を世界に伝えた写真家ユージン・スミスを演じ、プロデューサを務めたジョニーデップが胎児性水俣病患者である坂本しのぶさんと対面した際、坂本さんは不自由な身体で「水俣病は終わっていない」と訴えました。

演劇に携わる者として、常に弱者の立場に立ちながら社会に発信できる作品を創り続けていきたい!年の瀬の今日この頃、改めて今日の稽古初日の本読みに立ち会いながら己に言い聞かせた次第でございます。

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階段を降りれば、そこはjazzの世界

2025/12/15
【第2120回】

先週の土曜日は、「エル・スールを映画にするったい」の会合に顔を出しました。今年12回目の会です。西鉄ライオンズの神様、仏様、稲尾様と言われた鉄腕稲尾和久投手の命日に合わせ毎月13日に集まることになったそうです。トム・プロジェクトの芝居「エル・スール~わが心の博多、そして西鉄ライオンズ」を観劇し「是非、映画化したい!」と名乗りを上げた武正晴監督を筆頭に、この呼びかけに賛同してくれた人たちが十数名集まり映画化に向けて情報収集、資金集めの相談を喧々諤々話し合っています。

映画を創ると言ってもなかなか実現が難しい昨今、これだけの人たちが毎回集まってくれるには、やはりあの昭和の時代に貧しいながらも人々が必死に生きる姿に共感したに違いありません。電車に乗れば90%の人が他人に興味も示さずスマホに一点集中、家族、恋人と食事に行っても会話がなくそれぞれがスマホと対話している姿、公園の広場に集まる子供たちも無言のままゲームに夢中なんて姿を見せつけられたら、あの昭和の人間臭さに惹かれるのかもしれませんね。

おいらも、今回の映画化の原作になる「我が心の博多、そして西鉄ライオンズ」のあとがきに書きました。「この本に登場する人物は皆、活きいきとした体温を蓄えている。その体温を感じながらボクもまた、夢とロマンと冒険心という三種の神器を手に入れた。この困難な時代を乗り越えるキーワードは、やはり人の心の在り方であり、他人を思いやる体温の温かさであると思う。」

そんな思いが込められた映画、勿論おいらも観たいです。

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うつくしく交る中や寒椿

2025/12/12
【第2119回】

おいらはスペインに住んだ経験もあり、ふとスペイン料理が食べたくなります。スペインでは休日に家族で集まり、パエリアを囲んでのんびりした時間を楽しみます。庭や広いテラスにはパエリアを炊くスペースが確保されている所もあり、パエリアは家族団らんの象徴的な食べ物ですね。てなわけで先日、国際パエリアコンクールに3年連続で日本代表として出場し、しかも優勝したという店に行ってきました。一日3組しか予約できないご夫婦でやっている店、確かに一品、一品丁寧に作られた料理と味わい深いワインで十分堪能したんですが、肝心のパエリアがおいらの口には合いませんでした。水分が多く、食べ終わった後のパエリア鍋に焦げ付いた米をヘラでそぎ落としながら食するラストの楽しみが無かったのが大きな原因かな。それと料金かな...スペイン料理はあくまで家庭料理の範疇だと思います。食材にしても調理過程も含めて庶民の食べ物、これちょいと高いんじゃない?なんて感じさせるお店はどうかなと思いました。

今日から一段と寒くなりましたね。そして又もや今日再び、東北、北海道で地震が発生、そんな状況でありながら原発の再稼働が柏崎と泊で進んでいます。確かに原発に頼らざるをえない点は理解できますが、14年前の東日本大震災のことをもう忘れたのか?と唖然たる思いがします。あの地震で故郷を失った人たちの慟哭は誰しもが共有することではなかろうか...

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お口に合いますかな?

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