2025/12/17
【第2121回】
昨日から、来年の初頭に上演する「風を打つ」の稽古が始まりました。この芝居の初演は2019年、その後全国公演含めて86ステージを重ねてきました。それだけ観たいという方々が居て、この時代に必要な作品であったのだと思っています。それにしても、ふたくちつよし作品の需要の多さは群を抜いてます。彼の作品の底辺に流れているのは平和への願い、環境に対する厳しい視線、家族の在り方、これらのテーマを教条的に描くのではなく普遍的に捉えてる点だと思います。実は、平易な言葉で紡いでいく台詞の展開こそが手間暇がかかり時間を要するものです。そして台本が出来ても、そこに血肉を加え情感を込める役者のチカラがなければクオリティーの高い作品にはなり得ません。勿論、舞台美術、照明、音響、演出部の強力な後押しも必要となってきます。
今回の芝居のテーマにもなっている水俣病、来年の5月1日で、病が認定されて70年になります。12月2日に映画「MINAMATA―ミナマター」で水俣病の悲劇を世界に伝えた写真家ユージン・スミスを演じ、プロデューサを務めたジョニーデップが胎児性水俣病患者である坂本しのぶさんと対面した際、坂本さんは不自由な身体で「水俣病は終わっていない」と訴えました。
演劇に携わる者として、常に弱者の立場に立ちながら社会に発信できる作品を創り続けていきたい!年の瀬の今日この頃、改めて今日の稽古初日の本読みに立ち会いながら己に言い聞かせた次第でございます。

階段を降りれば、そこはjazzの世界

